2015 Fiscal Year Research-status Report
思春期に対する睡眠を中心とした包括的生活習慣教育による介入研究
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26507009
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
兼板 佳孝 大分大学, 医学部, 教授 (40366571)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 高校生 / 睡眠 / 調査 / 保健教育 / 思春期 |
Outline of Annual Research Achievements |
思春期の睡眠問題は、学習効率を低下させるだけではなく、抑うつや身体症状の発生を促進し、心身の健康にも多大な影響を及ぼす。そのため、思春期の睡眠問題は、学校教育ならびに学校保健の両面において重要な課題である。また、思春期は健康的な生活習慣を身につける時期として重要である。本研究では、高校生に対して、睡眠を中心にした包括的な生活習慣教育を実施し、こうした保健教育が思春期の睡眠習慣、健康意識、精神的健康度(メンタルヘルス)に及ぼす影響について検証を行うものである。 平成26年度には、関係諸機関との交渉、自記式質問票や生活習慣教育に用いる教材の作成、倫理審査委員会への申請などを行った。平成27年度には、某市に所在する21の高等学校のうち、最終的に協力が得られた16校においてベースライン調査として自記式質問票調査を実施した。対象生徒は4,300人、参加者は3,227人、有効回答は3,145人であり、参加率は73.7%、有効回答者率は73.1%であった。睡眠時間が6時間未満の者は男性の24.2%、女性の27.8%に認められた。就寝時刻が午前1時以降の者は男性の13.5%、女性の16.1%に認められた。睡眠の質が悪い、または、とても悪いと回答した者は男性の13.1%、女性の13.6%に認められた。多変量解析では、抑うつ状態、消灯後の携帯電話などの使用、長いインターネット利用などと、種々の睡眠問題との間に有意な関連性が認められた。ベースライン調査後には、半数の8校を先行群として睡眠を中心にした生活習慣教育を実施した。残りの8校は待機群とした。平成28年度には、フォローアップ調査を実施して、先行群と待機群を比較することによって睡眠を中心にした生活習慣教育の効果を検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度の重要な研究活動は、第1にベースライン調査を実施すること、第2に先行群に睡眠を中心にした生活習慣教育を実施することであったが、いずれも予定通り実施することができた。また、ベースライン調査では、73.1%といった高い有効回答者率が得られた。以上のことから、おおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度には、ベースライン調査と同一の質問項目でフォローアップ調査を実施する。2回の調査で得られたデータを先行群と待機群を比較することによって睡眠を中心にした生活習慣教育の効果を検証する。また、研究結果を協力校にフィードバックすると共に、学術集会や学術論文で発表する。
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Causes of Carryover |
当初は生活習慣教育に用いる保健教育教材の印刷費として計上していたが、作成した教材に修正が必要となり、印刷は次年度に延期することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生活習慣教育に用いる保健教育教材の印刷は次年度に行うことを計画している。
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