2014 Fiscal Year Research-status Report
睡眠呼吸障害の病態分析と個別化治療の構築を目指して
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26507011
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
中山 秀章 東京医科大学, 医学部, 准教授 (30444144)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬戸口 靖弘 東京医科大学, 医学部, 教授 (90206649)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 睡眠呼吸障害 / 病態分析 / フェノタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、睡眠呼吸障害(SDB)患者に対し、睡眠中に持続陽圧呼吸(CPAP)圧を増減させ、それに対する換気反応、覚醒反応をみることで、その患者の呼吸調節、覚醒性、上気道虚脱性とその相互関係を評価し、病態分析を行う研究である。初年度の目標としては、検査法、検査体制の確立を目標とし、可能であれば、SDB患者に対し、検査を開始することを目指した。初年度においては、健常人ボランティアを対象に数回予備実験を実施し、実施の手順、問題点の抽出、解析についての検討を行った。次の点が課題として認められた。 1.CPAPの圧変更のタイミング・迅速性 2.高CPAP圧下での呼気炭酸ガス(CO2)分圧の測定不良 3.解析における圧変更時における変動データの取り扱い、吸気、呼気の一回換気量の差の存在 以上の課題を踏まえ、測定機器の変更、検査体制の確立を行った。解析法、データの解釈についてはSDB患者症例での検討が必要であると考えている。 また、併行して、臨床的なSDBの検査法として行われている睡眠ポリグラフ(PSG)検査をレトロスペクティブに分析し、呼吸イベントと覚醒の関係の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の目標としては、検査法、検査体制の確立を目標とし、可能であれば、SDB患者に対し、検査を行うことを目指した。 予備実験を通じ、以下の課題を認めた。 1.CPAPの圧変更のタイミング・迅速性:呼吸イベントを防止するCPAP圧から数cmH2Oずつ圧を下げたり、下げた圧を元の防止圧にもどす必要がある。これを一呼気時の間に行う必要があるが、手動操作のため、タイミングと迅速性が要求され、実施者の習熟は必要であった。 2.高CPAP圧下での呼気CO2分圧の測定不良:呼気CO2分圧の測定をおこなっていたが、CPAP圧が低圧の場合には、呼気終末CO2分圧はきちんと測定されたが、圧が高値であると、測定不良となった。 3.解析における圧変更時における変動データの取り扱い、吸気、呼気の一回換気量の差の存在:ニューモタコグラフを使用し、フロー波形より、呼吸数、一回換気量を算出することを考えていた。しかし、圧変更ポイントにおけるCPAP圧の変動に伴い、その点が不明確であったり、吸気、呼気の一回換気量の計算値に差を認めた。以上の課題を踏まえ、CO2サンプリング方法がメインストリームからサイドストリームのタイプの呼気CO2測定機器の変更し、実験補助者の役割分担を行い、機器操作の習熟を図り、検査体制の確立を行った。 また、臨床的なSDBの検査法であるPSG検査による評価法の可能性を考え、レトロスペクティブに各患者の呼吸イベントのパラメータを評価・分析し、呼吸イベントと覚醒の関係の検討を行った。 以上より、初年度の目標として対象を検査できる体制まで構築したということも踏まえ、達成度としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度より症例エントリー・検査(実験)を開始し、SDB患者の病態分析を開始・データの集積を進める。 症例のエントリーについては、関連施設(睡眠総合ケア・クリニック代々木)に通院中の患者に対し、研究概要の掲示・説明を行い、周知する。特にCPAP主体の治療から患者個別への治療へ繋がる可能性のある研究であること、参加協力者には金銭的代償もある研究であることから、多くのボランティアに参加してもらうよう工夫する。 解析法、データの解釈についてはもう少し、SDB患者症例によるデータを集積し、さらなる検討が必要であると考えている。
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Causes of Carryover |
呼気CO2測定器が高CPAP圧下では測定不良が生じ、別方式の機器を購入し、セッティング、調節が必要であった。被験者として患者に参加しての検査の実施ができなかったため、謝金や実験補助等の資金が持ち越しをした形になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
検査法・検査体制も整い、実際のSDB症例のエントリーを進め、病態分析の検査実験を定期的(月2名~4名を目標)に進めていくようにする。 また、PSG検査による呼吸イベント・覚醒、そして上気道の虚脱性の評価の可能性も併行して進めていく。
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Research Products
(3 results)