2015 Fiscal Year Research-status Report
睡眠相後退型概日リズム睡眠障害に対する統合的時間生物学治療法の開発
Project/Area Number |
26507012
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
内山 真 日本大学, 医学部, 教授 (20221111)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 概日リズム / 睡眠障害 / 不眠 / 起床困難 / メラトニン / オレキシン / 高照度光療法 / 時間療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
概日リズム睡眠障害は、概日リズムと睡眠をとる時間帯との同調の不全により睡眠が障害され、学業や職業の問題や生活の支障を来す。このグループの睡眠障害の中には、社会的な睡眠と覚醒のスケジュールが急に変化することによって生じる交代勤務障害や時差障害、概日リズムが昼夜の明暗サイクルに適切に同調できないために睡眠時間帯が慢性的に遅れてしまう睡眠相前進型や非同調型、睡眠時間帯が極端に早くなってしまう睡眠相前進型などがある。睡眠相後退型は10代~20代に0.5~1.0%にみられ、概日リズム機構の機能不全により睡眠時間帯が遅れたまま戻せない概日リズム睡眠障害である。これを短期間に確実に改善するような治療法が開発されていないため、世界中で多くの患者がこの時期における学業や職業の問題から、その後の一生涯にわたる社会的ハンディキャップとなることが指摘されている。本研究課題では、概日リズム機構に対する正常化とともに、最新の睡眠相後退型に関する病態研究で指摘されてきた睡眠恒常性調節機構の機能不全を時間療法と全断眠を組み合わせて同時に適正化する新たな治療プロトコールを開発し、その効果を検証することを目的とする。睡眠相後退型概日リズム睡眠障害患者で、外来における高照度光療法、メラトニン受容体作動薬療法を用いても3ヶ月にわたって効果の見られなかった対象者に、時間療法と高照度光療法に全断眠を組み合わせた1ヶ月の入院治療プロトコールを施行し、時間療法の作用機序について睡眠恒常性および概日リズム位相の両面から明らかにする。現時点までにおいては、入院に至るまでの諸例は少なく、外来治療における検討が主体となっている。時間生物学的な介入を組み合わせることで治療成績の改善がみられている。外来における、客観的睡眠・覚醒リズム観察法としての携帯型活動量測定装置による睡眠時間帯推定と自記式睡眠日誌の妥当性検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
入院による治療を想定して初期プロトコールを作成したが、新薬の出現とその利用などにより、非薬物療法との巣状効果がより高くなった。多くの症例が、入院に至ることなく、外来での治療で改善するようになった。こうした意味で、臨床実践に役立つ統合的な治療法を作成するという目標については、最終達成が可能であると思われる。治療実績が外来において上昇したため入院の状態で採取する液性データに関しての進捗はやや遅れている。改善度をより適確に評価するための健常正常人における睡眠覚醒データベースの構築と評価法の妥当性検討については、ほぼ予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は、概日リズム睡眠障害において、概日リズム同調機構不良に加え睡眠恒常性維持機構の機能不全により長く覚醒していても睡眠圧による眠気が起こりにくいことを世界で初めて明らかにした。しかし、この点に焦点を当てた治療法は未だ開発されていない。本研究課題は、高照度光療法を用いた概日リズム同調機構改善に、世界で初めて時間療法と断眠を組み合わせて睡眠恒常性維持機構不全を同時に改善する画期的治療法を開発するものである。現在、治療プロトコールで臨床症状の改善の得られた症例を解析することで、治療介入が睡眠覚醒調節のいかなる制御機構に作用したのかについて明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
概日リズムおよび睡眠に関連する液性因子の測定を計画していたが、試薬が期日内に届かなかったために、測定が年度をまたぐことになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
サンプルは既に採取されており、試薬が届き次第測定が可能である。このため、2015年度で残った分の支出が2016年度に速やかに行う事ができる。
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Remarks |
概日リズム睡眠障害の治療法について共同研究し、Lockley博士と文献をまとめた。Uchiyama M, Lockley SW. Non-24-Hour Sleep-Wake Rhythm Disorder in Sighted and Blind Patients. Sleep Med Clin. 2015;10(4):495-516.
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Association of short sleep duration and short time in bed with depression: A Japanese general population survey.2015
Author(s)
Furihata R, Uchiyama M, Suzuki M, Konno C, Konno M, Takahashi S, Kaneita Y, Ohida T, Akaboshi T, Hashimoto S, Akashiba T.
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Journal Title
Sleep and Biological Rhythms
Volume: 13
Pages: 136-145
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] がん患者の不眠2015
Author(s)
内山 真
Organizer
日本緩和医療学会 第19回教育セミナー
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)
Year and Date
2015-06-18
Invited
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