2015 Fiscal Year Research-status Report
原発事故後の被災地における「復興」と社会階層に関する計量社会学的研究
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26510004
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
橋本 摂子 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (70323813)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 福島 / 原発事故 / 市民意識調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度の主な実績としては、立教大学と共同で福島市民を対象とした『生活と防災についての市民意識調査』を実施し、調査データを用いた基礎分析を進めた。詳細な分析結果については来年度以降となるが、とりあえずの知見として、1.震災から4年半あまり経過した現在、震災直後に見られた放射能汚染への強い不安は若干緩和しつつある、2.放射能不安の分布においてこれまで見られていた男女差・年齢差もなくなりつつある、ということがわかった。3.その一方で、「放射能による健康被害への懸念」は強く共有されている。このことから、市内で計測された線量の物理的な低下によって市民の間で現時点での(生活上の)恐怖はある程度沈静化したものの、将来への漠然とした不安は潜在化・偏在化しつつあると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
市民調査の実施によって、個票データを用いた詳細な分析が可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は主に個票データを用いて、放射能汚染に対する市民不安および復興政策への評価に焦点を当て、経済・社会階層と意識の関連について分析を進めていく予定である。また、社会理論の視覚から原発事故を考える準備段階として、ハンナ・アーレントのいう「無人支配 no man's rule」による官僚制の帰結として原発事故を捉えなおすための理論的作業を行う。
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Causes of Carryover |
差額の主な理由は、今年度の作業は実査が主だったため、統計ソフトSPSSおよびSTATAのアップグレードを見送ったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は上記どちらかのソフトの最新版を購入する予定である。
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