2015 Fiscal Year Research-status Report
被災地のイノベーション活動を支える社会的ネットワークの役割
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26510005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 俊也 東京大学, 政策ビジョン研究センター, 教授 (00334350)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 震災被災企業 / 社会ネットワーク / イノベーション活動 / 質問票調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
被災企業のネットワークとイノベーション活動の関係について前年度計画していた特許分析は、出願人住所が本社に転記されていることなどの技術的な問題から、質問表調査に切り替えて実施することとした。テーマとしても少し拡張して、ネットワークなどの社会関係資本を含む経営資源と、危機に対しするレジリエンスとの関係全般を明らかにすることを主眼とした質問票調査の設計を行った。また質問票の対象としては東北被災3件における自動車関連産業に所属する企業とした。2015年11月10日に1260件の調査票を発送し、翌年1月まで返信総数 224 件を回収した。うち記述有返信件数 221 件であり回収率17.8%であった。 回収した質問票については現在分析を継続している。現在まで明らかになった事項としては、多くの企業が2008年のリーマンショック(90%以上の企業で売り上げ減少)と2011年の東日本大震災(60%程度の企業で売り上げ減少)の双方によって売上高、生産能力などの減少に見舞われていたが、その中で回復力の高い傾向がある企業群は、2回のイベントの双方で比較的早期に立ち直っているのに対して、回復力の乏しい企業群は2回とも立ち直りが遅れている傾向があることがわかった。回復力すなわちレジリエンスに企業の何らかの特徴量との創刊があることが想定されるため、ネットワークに関する経営資源を含む特徴との相関を分析中である。また自動車業界への依存が大きいと、いずれのイベントにおいても影響が大きくなる傾向が見られたため、これらの影響は制御して分析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特許分析から質問票調査に研究手法は変更したが、質問票調査は一定水準の回収率で回収できており、分析を適切に行うことで成果を得ることができると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度であり、質問票調査の分析を終了させて結果を整理し考察を加える。結果に基づき成果発表を行う予定。
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Causes of Carryover |
特許分析を質問票調査に変更したため、予算金額より少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
質問票調査では特許分析に比べてデータセットの整理分析に必要な手間が増える。この部分を次年度研究費で充当する。
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