2016 Fiscal Year Research-status Report
被災地のイノベーション活動を支える社会的ネットワークの役割
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26510005
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡部 俊也 東京大学, 政策ビジョン研究センター, 教授 (00334350)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 経営危機 / 質問票調査 / 東日本大震災 / リーマンショック / 社会的ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
リーマンショックを契機とした金融危機と世界同時不況、および東日本大震災という2つの危機をわずか3年の間隔で経験した東日本大震災の東北被災三県における自動車関連産業に従事する企業を対象に、2回の危機のもたらした事業活動への影響と回復の状況を明らかにし、かつそれらに影響するSocial Capitalを含む経営資産の貢献を明らかにすることを目的として質問票調査を行った。本調査対象企業は経済産業省の自動車産業関連企業マップを利用した。このうち2015年9月1日の時点でマップに掲載されている企業を対象に質問票調査を実施した。質問票は2015年11月10日に1260件の調査票発送したところ返信総数は 224 件を得た。うち記述有返信件数 221 件であり回収率17.8%であった。この調査結果からは、2回の危機が質的に大きく異なる影響を与えたものであったことにかかわらず、回復力が優れた企業は共通した特性を有していることが示された。具体的には企業財務管理や業務管理などの通常のガバナンスが頑健な企業ほど耐性が高いことが有意に示されたほか、ごく少数の信頼できるパートナーを連携先として保有している企業が回復力が優れている可能性が示された。この結果については、政策ビジョン研究センターのワーキングペーパー(渡部俊也,2016.危機を乗り越える企業のSocial Capital-東北自動車関連企業が遭遇した2回の危機に関する質問票から-,PARI-WP No. 25.にとりまとめたほか、現地で震災復興政策担当者や調査対象企業も交えたセミナー(渡部俊也,2016年10月28日(企画、講演)公開セミナー「危機に強い企業、危機をチャンスに変える企業」主催:東京大学 政策ビジョン研究センター、ホテルメルパルク仙台)を開催して研究成果の普及を図った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画した質問票調査とその分析は完了し、結果の一部をディスカッションペーパーにまとめた。また成果普及のためのセミナーを実施することができた。残された課題としては、上記研究過程で生じた一部不明事項について、補足的な調査を行ったうえで最終的な論文の執筆を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
補足的な調査として、震災復興に関する政策担当者へのヒアリング調査などを行い、最終的な論文の作成を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度質問票調査を実施し、その結果の公表をワーキングペーパー(論文)にてとりまとめたほか、調査現地にてセミナーを開催することで実施した。その際研究集会での指摘事項に対して、対応して研究成果のまとめを行う予定のところ、追加調査に予想より時間を要したことから、研究期間の延長を申請した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
仕様計画としては①質問票に回答した現地企業に対するヒアリングに関して旅費と謝金②政策担当者へのヒアリングに関する旅費③論文とりまとめに関する補助作業の謝金 などを予定している。
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Research Products
(1 results)