2016 Fiscal Year Annual Research Report
Residence-related factors and psychological distress among evacuees after the Fukushima nuclear disaster
Project/Area Number |
26510011
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
堀越 直子 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助手 (90722497)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安村 誠司 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50220158)
岩佐 一 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (60435716)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 避難住民の精神影響 / 住居関連要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東日本大震災とこれに伴う津波、原発事故により避難区域等に指定された福島県民で、県内外の借り上げ住宅に避難している者において、居住場所の違いからみた生活状況や居住に関連する実態および居住関連要因と精神的健康(心理的ストレス反応、主観的幸福感)との関連について明らかにし、大規模な自然災害時に長期化する避難生活への具体的な支援方策を提案することを目的としたものである。 対象者の選定は、原発事故により国が指定した避難区域等の福島県民で、調査時に県内・県外(東京近郊)の借り上げ住宅に居住する成人住民を対象とした。平成26年10月~平成27年2月に自記式質問紙および面接による調査を実施した。 対象者884名のうち調査同意者は304人(同意率34.4%)で、平均年齢は58.1歳(県内62.6歳、県外53.5歳)であった。社会的孤立の者が全体で50.3%(県内52.0%、県外47.1%)であり、約半数の者に社会的孤立がみられた。 また、居住関連要因と心理的ストレス反応の関連をみた結果、居住不満足感のみに有意な関連がみられ、避難地域別に解析した結果でも同様の結果であった。さらに、居住関連要因と心理的ストレス反応の関連を性、年齢、LSNS-6、暮し向きで調整した結果、居住不満足感が心理的ストレス反応と関連していた。 以上のことから、心理的ストレス反応、主観的幸福感ともに居住不満足感が関連しており、避難者の居住不満足感を評価することが精神的健康の予測因子となりうることが示唆された。また、主観的幸福感にはソーシャル・ネットワークが最も強く関連することが見出された。避難によって損なわれたソーシャル・ネットワークを補償する方策について検討することが今後必要である。今後はさらに、仮設住宅と借り上げ住宅など、避難する居住形態の違いによる検討が必要である。
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Research Products
(2 results)