2018 Fiscal Year Annual Research Report
Poverty prevention measures for children affected by large-scale disasters
Project/Area Number |
26510017
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
鳫 咲子 跡見学園女子大学, マネジメント学部, 教授 (50644473)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子どもの貧困 / 災害 / 就学援助 / 学校給食 / 無償化 |
Outline of Annual Research Achievements |
震災により、親を失ったり、親が失業したり、家庭が生活基盤を失ったことにより多くの子どもが貧困に陥った。また、被災からの回復は一様ではなく、震災前から貧困状態にあった家庭においては、さらなる子どもの貧困の悪化が生じた。本研究の目的は、東日本大震災及び未だ収束しない原発災害のように、長期的な避難を余儀なくされる大規模災害で被災した子どもの貧困を防止するための給付の在り方を提案することであった。さらに、災害救助という普遍的な制度に、「子どもの貧困」を防ぐための機能を持たせることを検討した。 具体的には、既に実施された東日本大震災の被災者・避難者調査などのニーズ調査の結果や、阪神 淡路大震災など過去の我が国及び海外の大規模災害被災者に関する既存の調査研究を収集するとともに、被災地における就学援助、学校給食のような公的な現金給付、現物・サービス給付及び民間も含めた「子どもの貧困」を防ぐための支援について、支援対象・支援主体・支援内容別に実態を調査した。 これらの調査により、本研究では、1)子どもの貧困対策に重要な役割を果たす就学援助と学校給食は市町村における実施状況の格差が大きいこと、2)災害時の被災就学援助は平時の就学援助制度の充実度に左右されること、3)普遍的な子育て支援策として給食費を無償化する自治体が増加したことを明らかにした。 以上の分析結果に基づき、所属学会その他政策に関心のある一般市民も対象にした招待講演等で研究成果を発表し、国や自治体への政策提言を行い、社会に還元した。 今後は、これら研究成果を発展させ、被災就学援助及び給食費補助・無償化の実施状況を調査分析することにより、平時の就学援助制度の改善を検討し、個別的な申請による現金給付を基本とする就学援助と普遍的な現物給付制度としての義務教育の完全無償化の有効性を比較し、併せて望ましい制度への改善の方法を探求したい。
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Remarks |
研究成果の社会への発信 NHK「おはよう日本 熊本地震から2年」(2018年4月15日)にてインタビュー放映。
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Research Products
(11 results)