2016 Fiscal Year Research-status Report
震災時における緊急支援物資ロジスティクス体制の検証
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26510019
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
秋川 卓也 日本大学, 商学部, 講師 (80367515)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 緊急支援物資ロジスティクス / 熊本地震 / 東日本大震災 / BCP / 食品メーカー / 自治体 / アンケート調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、2つの研究実績をあげることができる。 第一に、緊急支援物資ロジスティクスにおいて物資提供の要となる食品メーカーの事業継続計画(BCP)に関する研究成果である。大災害時においては備蓄は数日で枯渇し、その後は食品メーカーからの無償ないしは有償の提供が食料物資の調達源となる。しかしながら、東日本大震災の事例でも明らかのように、工場被災によって食品の生産能力が毀損される恐れがある。したがって、BCPの普及が必要となり、政府もこれを推進してきたが、その実態については不明な点が多かった。今回、アンケート調査から得たデータを分析した結果、食品メーカーのBCPの実態の解明とそれに基づいた考察(特にBCPの普及度を高まるための改善策)を行うことができた。その結果を学会で報告し、さらには学会誌に論文投稿することができた。 第二に、緊急支援物資ロジスティクスの中心的な担い手となる自治体(特に市町村)に対するアンケート調査で用いる質問票の作成である。この課題は昨年度に引き続きのものであるが、昨年4月に発生した熊本地震の支援物資活動の内容を加味するために、実施時期を先送りにすることとした。熊本県益城町の当時の担当者にヒアリング調査を行うことができ、アンケート内容を再検討するための貴重な情報を得ることができた。また、他の実務家や研究者にもアンケートの草稿を確認してもらい、貴重な意見を得た。各種意見を踏まえたうえで、アンケートを慎重に再検討することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年4月に発生した熊本地震の支援物資活動の内容を加味するために、自治体を対象としたアンケート調査の実施時期を先送りにすることとしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度においては、2つの課題の解決を推進して研究をクロージングする予定である。 第一に、自治体を対象としたアンケート調査の実施である。これにより、自治体の緊急支援物資ロジスティクスの構築に関する現状を明らかにすることができる。かねてより政府が体制構築を自治体に要請してきた経緯があるが、その取り組みには温度差があるようである。実態をアンケート調査のデータ分析から考察し、何らかの提言に結び付けたい。 第二に、被災者のアンケートデータに基づく、熊本震災における緊急支援物資ロジスティクスの事後評価である。すでに熊本地震の被災者(避難所利用者)に対して支援物資の充足水準等に関するウェブアンケートを行っている。東日本大震災でも同様のデータを回収しているので、両者の比較考察を行いたい。そのうえで熊本震災の緊急支援物資ロジスティクスに関する評価を行う。
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Causes of Carryover |
昨年4月に発生した熊本震災を踏まえて調査を再設計するために、研究期間の延長を行ったためである。特に自治体向けのアンケート調査の実施を平成29年度に先送りにした。その費用が29年度に必要となる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
自治体向けの緊急支援物資ロジスティクスの体制に関するアンケート調査の実施費用が主な使用用途となる。主な内訳として、郵送費、事務用品費、印刷費等である。また、考察に必要な情報収集のために、主要文献の購入も予定している。
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Research Products
(1 results)