2014 Fiscal Year Research-status Report
自然素材を活用する農業用水中の低濃度放射性セシウムの除去とその吸着機構の解明
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26511008
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
三浦 麻 福井大学, 教育地域科学部, 准教授 (70585257)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | セシウム除去 / 自然素材 / 吸着 / ため池 / 用水路 / 農業地帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,水源地や渓流から導入する低濃度Csに対して,自然素材を活用した浄化技術を開発することである.平成26年度では,自然素材5種(クン炭,モミガラ,木炭,オガクズ(ナラおよびブナの2種))を用いた.回分式吸着実験により水中のCS除去に効果を持つ可能性がある素材の見当をつけ,素材のもつCs吸着挙動の初期濃度の違い(2ppm,1ppm,0.5ppm)による再現性を確認し,安定した吸着効果をもつ素材を吸着材として選び出すことを試みた.いずれの吸着実験においても,素材の適用量は,溶液量の10%の重量を添加した.その結果,吸着効果を持つ素材として,モミガラを除く4種が抽出され,各素材の吸着特性として即効性または継続性を持つことが確認できた.クン炭および木炭は吸着率が時間の経過とともに上昇し,実験終了までに80%~90%の吸着率を示した.一方,ナラ材,ブナ材ともに実験開始後1時間までに吸着率が70%もしくは50%に到達した.ここで抽出された4種のうち,クン炭,ブナ材は各初期濃度に対して時間ごとの吸着率に再現性がみられ,初期濃度によらず安定した吸着率が得られることが認められた.現場適用の可能性をもつ自然素材の抽出に関する成果は水環境学会において報告した(3月,金沢).また,吸着効果が安定して得られる吸着材の量について,これら2種の吸着材のCsに対する吸着等温線と既存の吸着速度論モデルによって吸着特性および吸着速度を検討した.その結果,クン炭による吸着等温線はラングミュア式およびフロインドリッヒ式ともに適応することが示された.また,クン炭およびオガクズ(ナラ材)ともに,吸着速度論モデルに概ね適合可能であることが見込まれた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題としていた複数の自然素材から現場適応の可能性をもつとみられる素材の絞り込みができたことから,抽出された素材の吸着機構の解明への取組みに着手できた.また,吸着速度論モデルにある程度の適合性を示したことから,さらに本系に適用できる吸着速度式の改良へ進むことが可能となった.これらのことから,本研究は概ね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は引き続き,抽出した自然素材の吸着機構の解明を行う.抽出されたクン炭およびオガクズ(ブナ材)の2種の素材の各吸着機構を解明し,最終年度に向けて実験室レベルにおいて,現地施工を想定した高い吸着効率性をもつ2種の自然素材を組み合わせた適応法を検討する.
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Causes of Carryover |
当初計画では,吸着特性解析を行うための実験器具としてガラス器具消耗品を計上していたが,吸着特性解析は次年度に行うこととしたため当該年度では購入する必要がなかったため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
生じた次年度使用額は,吸着特性解析を行うための実験器具としてのガラス器具消耗品を購入する.
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Research Products
(1 results)