2014 Fiscal Year Research-status Report
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26511010
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| Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
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Principal Investigator |
高橋 正通 独立行政法人森林総合研究所, 研究コーディネータ, 国土保全・水資源研究担当 (40353750)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長倉 淳子 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (70353787)
安部 久 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 主任研究員 (80343812)
高野 勉 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 領域長 (90353747)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | スギ / 放射性セシウム / 森林土壌 / 木材汚染 / 福島 / 原発事故 / カリウム |
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| Outline of Annual Research Achievements |
東京電力福島第一原子力発電所の事故により、東日本の太平洋側の森林は広く放射性セシウムで汚染された。森林土壌の放射能汚染により樹木の養分吸収を通じて木材中に放射性セシウムが取り込まれ、木材利用に影響がでる可能性が危惧されている。特に福島県の主要造林樹種であるスギの場合、辺材よりも心材の方がセシウム濃度は高くなるという報告があり、心配されている。一方、セシウムの化学的性質は同族元素であるカリウムに似ていることから、土壌や樹木の当年葉のカリウム濃度はセシウム吸収の指標となる可能性がある。さらに黒心材はカリウム濃度が高いとの報告もあり、材中のセシウムとの関係も注目される。そこで、今年度は原発事故前に採取された福島の土壌とスギの当年葉のカリウム濃度を分析し、同時期に採取された全国各地の試料との関係を比較することにより、福島県スギ林のカリウムの栄養状態からセシウム吸収特性を推察する。
福島県のスギ葉のカリウム濃度は湿式灰化法で分解後、ICPで分析した。その平均値は 5mg/g程度であった。全国各地のスギ葉の分析によるとK濃度は2.5～14mg/gの間にあり、福島の濃度は平均より低い傾向があった。また福島の森林土壌の表層の化学性を定法で分析したところ、平均値はpH5.6、交換性カリウムは0.7 molc/kgであった。全国平均値と比較すると、pHは高く、交換性K濃度はやや高かった。これらの結果からは、スギの葉と土壌のカリウム濃度との間に明瞭な関係は見いだせなかった。以上のように、福島県のスギ林は葉のK濃度がやや低いものの、土壌のK濃度はやや高く、両者の傾向は相反し、セシウムを吸収しやすいかどうかは判断しにくい状態であった。
この他、スギ林の放射性セシウム分布の特徴等について、国際学会IUFROやIUSSで公表するとともに、関連情報の収集に努めた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
木材中のカリウムおよびセシウム濃度を分析する予定ですすめたが、試料の収集に予想以上の時間がかかっている。そのため、分析試料が限られたので、次年度に採取する試料と合わせて分析することにより、効率的に作業をすすめることとした。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、福島県外も調査対象とし、葉のカリウム濃度が高い地域と低い地域から試料を採取分析し、データのレンジを拡大して解析することで、セシウム吸収特性を把握する。
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| Causes of Carryover |
分析試料が予定より集まらず、分析関係の経費を予想より支出しなかった。また、分析を効率的かつ精度良くに進めるためには、ある程度まとめて分析することが有利と判断した。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度でスギ材試料を精力的に収集し、当年度分と合わせて効率的に分析することによりデータを充実させる。
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