2014 Fiscal Year Research-status Report
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26511011
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
長谷 純宏 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 量子ビーム応用研究センター, 研究員 (70354959)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | セシウム / イネ / 突然変異 / イオンビーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、植物のセシウム吸収や動態への理解を深めるとともにセシウム低吸収性の遺伝資源を作出することを目指し、イオンビーム照射により選抜したイネのセシウム吸収変異体の解析ならびに原因遺伝子の同定を進めることを目的とする。炭素イオンビーム照射によって作成したM2系統(計462系統、約2,700個体)について、水耕栽培によって安定セシウムの吸収能力を評価し、10系統から低吸収候補個体、7系統から高吸収候補個体を一次選抜した。これらの個体から得たM3種子を育成し、一次選抜と同様に水耕栽培によって吸収能力を評価したが、これまでのところ、変異形質が固定されたと思われる系統を確認することができていない。一次選抜では、安定セシウムを含む水耕液で7日間育成した後の最新展開葉に含まれる新鮮重量あたりのセシウム量を評価したが、葉位別に測定した場合、最新展開葉の葉位が高いほど濃度が高い傾向があり、すなわち、第2葉より第3葉、第3葉より第4葉の方が、一定期間セシウムを吸収した際の濃度が高い傾向があり、適切に吸収能力を評価するためには同じ葉位の葉を採取する必要があると考えられた。この他に測定誤差を生む要因として、セシウム濃度の測定に使用している原子吸光分析装置のキュベットの劣化が考えられ、一定のサンプル数を測定する毎に標準試料を測定して補正する方法によって測定の精度を上げられることを確認した。また、来年度以降に予定していたガンマカメラを用いたイメージングに関する予備試験を行い、イメージング中の水耕液や温度・湿度の維持について検討するとともに、No.312系統では野生型に比べて根から基部への移行速度が2/3程度で遅いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一次選抜した変異候補個体の次世代で変異形質が明確に確認されなかったため、当初予定していた原因遺伝子同定に関する試験が進められていない。
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Strategy for Future Research Activity |
植物材料の栽培及び測定条件を最適化して、一次選抜した変異体候補系統のセシウム吸収能力を再評価する。また、H26年度に新たに炭素イオンビーム照射によって数百系統以上のM2種子を作成しており、これらを使った変異体の選抜を進める。変異形質の固定が確認され次第、イメージング試験を行う。原因遺伝子を迅速に同定するため、次世代シークエンサーによる塩基配列解析を利用する。
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Causes of Carryover |
塩基配列解析作業に使用する予定であったが、業者側から平成26年度内の納入が難しいとの回答があったため次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度初頭に塩基配列解析作業を実施するために使用する。
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