2015 Fiscal Year Research-status Report
過疎地域におけるコミュニティ機能の外部的主体による補完・支援・連携関係
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26512005
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
碇山 洋 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (50211024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 公子 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (80212025)
眞鍋 知子 金沢大学, 人間科学系, 准教授 (70320025)
小熊 仁 金沢大学, 地域政策研究センター, 助教 (00634312)
奥田 睦子 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (90320895)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 過疎化 / 高齢化 / コミュニティ / 自治 |
Outline of Annual Research Achievements |
①居住地選択権の保障を、国家がになうべき社会的共同業務のひとつ、国家の正統性の担保ととらえ、過疎化問題の解決の第一義的責任を国家の政策にもとめたうえで、地域の側の主体的な地域活性化策の必要性を強調し、七尾市のなたうち地区の「クラウド型集落づくり」に関する調査を行った。 ②日本の市町村における商工費・労働費の少なさに対する疑問を起点に、ローカルな産業・雇用振興策の必要性に着目し、ドイツ・ハルツ改革以降の自治体による雇用創出政策に関する研究をすすめた。 ③コミュニティに関する意識・行動について金沢市民を対象にアンケート調査を行った。地域活性化のための地域コミュニティの単位としては現在の町内会程度とする回答が最も多く、町会長などの役職にもっと女性がつくべきという回答には男女で有意な差があり、女性のほうが否定的な傾向が強いことが分かった。 ④金沢の高齢化が進む地域で活動するNPO法人「クラブぽっと」のアクションリサーチに取り組んだ。高齢者が気軽に立ち寄れるコミュニティサロンを「コモンズ」=「社会的共通資本」ととらえ、社会的ケアシステムとしての可能性などについて検討し、コミュニティにおけるコンフリクトの意味をしめした。 ⑤「ANA沖縄貨物ハブ」の効率性評価と要因分析を行った。包括分析法を用いて輸送の効率性の評価を試みたのち、Malumqist指標による効率性の変化を時系列でしめし、トービットモデルを利用した輸送の効率性に関わる影響因子の導出を行った。今後の効率的運用のためには域内産業循環の活性化などが課題であることがしめされた。 これらの調査・研究を通じて、農村部・都市部両方の過疎化・高齢化の実態とその対策、外部的主体の関わり方の基本的方向性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」に示したように、調査対象を明確にし、アンケート調査など2年度目に実施すべき調査とその分析をおおむね順調に進めている。また、理論・政策を構成するうえで必要となってくる隣接諸領域に関する研究も進んだ。ただし、コミュニティ機能の外部的主体による補完・支援・連携関係のあり方はどうあるべきか、またその構築方策はどのようなものかを探求するという新たな分野への挑戦であり、当初計画以上への進展はできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、研究計画の最終年度となるので、前半はこれまでと同様の調査研究に取り組みつつも、研究のまとめに入っていく。後半は、研究成果をまとめ、シンポジウムの開催などの形で学界・社会へ還元する。
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Causes of Carryover |
なたうち地区で予定していた大規模アンケートとその分析が、研究協力者の事情(配偶者の死去)によって、今年度実施できなくなった。そのため「人件費・謝金」「その他」の支出が0となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力者の状況改善をまって、アンケートを実施する。 また、研究成果発表のためのシンポジウムを開催する。
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Research Products
(11 results)