2014 Fiscal Year Research-status Report
半島・過疎地自治体による体系的広域的な公共交通の研究-福祉政策としての交通網作り
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26512006
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西村 茂 金沢大学, 法学系, 教授 (20164585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 仁 金沢大学, 地域政策研究センター, 助教 (00634312)
横山 壽一 金沢大学, 経済学経営学系, 教授 (10200916)
神谷 浩夫 金沢大学, 人間科学系, 教授 (40192546)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 半島地域振興 / 有償運送 / 自治体の公共交通政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.石川県珠洲市で実施したアンケート調査を踏まえて、2014年8月5日、すず市民交流センターにおいて、報告会「珠洲市における多角的体系的な公共交通政策の調査分析」を行った。4名が以下の報告を行った。西村茂「先進的事例からみた珠洲市公共交通の展望」、横山壽一・森山治「珠洲市公共交通調査-珠洲市総合病院の通院患者に対するアンケートから」、小熊仁「北陸鉄道奥能登バス木の浦線におけるオプション価値の計測」、小熊仁・西村茂「北陸鉄道奥能登バス三崎線における地域住民のサービス評価」。報告内容は『珠洲市における多角的体系的な公共交通政策の調査分析』として金沢大学地域政策研究センターから刊行した。 これらの調査報告の意義は、①公共交通の計画では「将来の利用・潜在的利用」を考慮すべきであること、②利用経験者を増やすことが、納税者・利用者の理解をえるのに重要であること、をデータに基づいて明らかにしたことである。 2.2014年9月16日~18日、北海道積丹半島の積丹町と泊村でインタビュー調査を行った。「条件不利地域」にある積丹町は福祉有償運送を行い、泊村は利用者負担の低い過疎地有償運送に取り組んでいる。調査内容は、西村茂・横山壽一・森山治・小熊仁「過疎地・福祉有償運送-北海道・後志地域の現地調査報告-」『地域政策研究年報 2014』(金沢大学地域政策研究センター) 2015年3月に発表した。 調査報告の意義は、①社会福祉協議会が自治体や公共交通機関の代行役として、移送サービスと介護訪問事業を並行実施しているため、人員・車両・収入の不足が生じ、利用者の要望に対応できない実態、②過疎地有償運送は、自治体の地理的条件と財政状況に依存し、好条件の自治体では、かえって路線バス、スクールバスを含む公共交通の総合的な検討・整備への動きが生まれにくいというパラドックスがあること、を明らかにしたことである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.現地調査 ①積丹半島の積丹町および泊村、②広島県江田島(橋により陸地とつながる点で地理的条件が半島と同じ島)、③幡多半島の四万十市および土佐清水市 2.業績の発表 ①報告会「珠洲市における多角的体系的な公共交通政策の調査分析」と報告書の刊行。西村茂「先進的事例からみた珠洲市公共交通の展望」、横山壽一・森山治「珠洲市公共交通調査-珠洲市総合病院の通院患者に対するアンケートから」、小熊仁「北陸鉄道奥能登バス木の浦線におけるオプション価値の計測」、小熊仁・西村茂「北陸鉄道奥能登バス三崎線における地域住民のサービス評価」 ②「過疎地・福祉有償運送-北海道・後志地域の現地調査報告-」『地域政策研究年報 2014』(金沢大学地域政策研究センター) 3.関連する個人業績
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Strategy for Future Research Activity |
1.現地調査 ①北海道渡島半島(松前町・福島町)、大分県国東半島(国東市、杵築市、豊後高田市)、丹後半島(京丹後市、伊根町、宮津市)の現地調査を行う。 ②広域連携制度により公共交通政策を実施している諸外国(とくに公的補助のあるドイツ・フランス)の過疎地における公共交通政策の現地調査を行う。 2.研究課題ごとに以下のスケジュールで成果をあげる。 研究課題ごとに初年度作成論文をふまえた研究会開催と海外文献の検討(4月~7月)、調査項目の整理と質問表の作成と調査の準備(8月)、現地調査(9月~11月)、国調査データ検証にもとづいて各課題リーダーが論文を執筆する(12月~2月)
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Causes of Carryover |
14万円強の残額が生じてしまったのは、国内のインタビュー調査先の選定において、相手方のスケジュールと私たちのスケージュールの調整に時間がかかってしまったためです。今後は、選定を早めたいと考えています。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に予定していた、調査旅費として使用する計画です。
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Research Products
(8 results)