2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26512013
|
Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
釜江 廣志 東京経済大学, 経済学部, 教授 (60091542)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
皆木 健男 青山学院大学, 社会情報学部, 准教授 (70438349)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 国債市場 / 国債引受シンジケート / 高橋財政 / 債券需要と供給 / 市場均衡 / 流動性 / 取引コスト / ボラティリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
1.代表者(釜江)は主に戦前から戦後までの国債等債券市場の変遷に関して文献を渉猟し、新聞・史料集により収集した市場の状況、特に明治末期の国債引受シンジケートの開始前後、昭和の高橋財政期の政策に関する資料を整理し分析した。併せて、大正時代以降の戦前期とほぼ20世紀末までの戦後期の市場データ等を整理して、国債(甲号5分利公債・第1回4分利公債・仏貨4分利債)の現物と先物市場について均衡であったか否かと効率的であったか否かの分析をするとともに、戦前の公的債券である地方債(東京・大阪の両市)・社債(南満州鉄道会社)・金融債(興業債・勧業債・農工銀行債)、及び戦後の公的債券たる加入者引受電信電話債・地方債(東京都債)・政府保証債(公営企業金融公庫債)の市場構造、とりわけ需要と供給の関連、及び市場が均衡であったか否かなどの計量分析を行った。
2.分担者(皆木)は、主に市場政策の分析に関して、証券取引所における取引にかかわる制度変更やシステム変更がもたらす国債先物市場の流動性に対する効果を分析している。債券流通市場においては、取引を厚くし、かつ安定的に保つために制度やシステムの変更が行われている。これら市場の制度変更やシステム変更による国債先物市場の流動性の変化、およびボラティリティの変化を分析した。分担者が行なう研究では、主に(旧)大阪証券取引所で採用されてきた取引システムの変更が国債先物の流動性にプラスに作用しているのかを分析し、市場政策についての提言を行うことを目的とする。27年度は、利用可能である国債先物価格の日次データを用いて分析を進めた。これまでは全サンプル期間での実証分析を行ったが、これらの制度変更の影響を明らかにするために、制度・システム変更に沿った適切な部分期間をいかに設定し、分析するかについて検討を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
代表者(釜江)は国債等債券市場の変遷等に関する新聞・雑誌記事や社史等を渉猟して、戦前、特に大正期以降の状況に関する資料整理をおおむね終了した。計量分析については、大正期以降20世紀末まで(国債先物は2008年まで)のデータ収集と整理を行い、戦前の国債、地方債、金融債、社債、および戦後の国債、地方債、電電債・政府保証債、金融債の諸市場に関する分析も予定通りに進めている。 また、分担者(皆木)は本年度の研究計画にあった市場のボラティリティ等に関する先行研究を広く探索した。同時に、国債先物価格の1986年3月から2016年3月までの日次データを用いて予備的な分析を行い、ほぼ予定通りの進捗状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き、史料を渉猟して戦前、特に未着手であった明治期の国債、とりわけ整理公債・軍事公債・甲号5分利公債などの市場の状況を把握する。併せて、モデル分析に用いるために明治期のデータを収集・加工する。マクロ経済指標のデータ、債券市場のデータを収集し、日次データを分析可能な状態にまで加工する。収集したデータをソフトウエアによって処理し、分析用アプリケーションを用いて計測を行う。その結果を検討してさらにモデルを彫琢し、それによる結果の解釈を行う。 戦後については、収集したデータをソフトウエアによって処理し、分析用アプリケーションを用いて計測を進める。特に高頻度データの加工を行ない、効率性分析等を行う。さらに、その結果を検討してモデルを彫琢し、それによる結果の解釈を行う。その後、ワーキングペーパー等にして発表する。 国債先物価格のサンプル期間を拡大する。利用可能なデータのサンプル期間と主に大証で実施された各制度・システム変更の重要度について,どの程度モデルに取り入れ分析するかについての考察を行う。
|
Causes of Carryover |
研究の進行はほぼ予定通りであるが、パソコンなどの物品乗り換え時間選定と購入に手間取り、次年度使用額が生じた。また、特に分担者は所属先の変更があり、物品購入と旅費使用学会レベルの予定通りに進まなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
パソコンなどの物品購入、アルバイトなどの人件費、資料収集と研究打合せの旅費、印刷経費に使用予定である。
|