2014 Fiscal Year Research-status Report
地域の実践的連環知に基づく環境・減災ガバナンス―日本・中国における比較事例研究
Project/Area Number |
26512018
|
Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
大塚 健司 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター環境・資源研究グループ, 主任研究員 (20450489)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 彌生(礒野彌生) 東京経済大学, 現代法学部, 教授 (60104105)
藤田 香 近畿大学, 社会学部, 教授 (00319899)
山下 祐介 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (90253369)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 減災ガバナンス / 震災 / 原発事故 / 津波被害 / 復興 / 地域再生 / 環境汚染 / 健康リスク |
Outline of Annual Research Achievements |
都内にて研究会合を計6回行い、メンバーによる研究報告のほか、国内の外部講師による報告や中国からの招へい者を交えた国際ワークショップを企画し、環境・減災ガバナンスの実情やあり方をめぐって議論を行った。外部講師(国内・中国)の報告で取り上げられた内容は、国内の事例については、福島第一原発事故に伴う避難と復興をめぐる問題、津波被災地域の復興プロセス、中国の事例については、四川大地震の被災地域における社会意識の変化、湖南省の鉛・亜鉛鉱山開発による農地の重金属汚染問題、その他の事例としてはトルコにおける住民防災組織の形成と活動、等である。 国内においては高知市を対象にフィールド調査を行い、南海トラフ地震による津波被災リスクに対する市及び住民団体による備えの現状と課題について把握に努めた。また、第3回国連防災世界会議(仙台市)や東日本大震災及び福島第一原発事故に関する各種研究会合(都内・現地)に参加し、震災や事故災害への政府主導の政策対応と住民主導の取り組みの現状や相互の連携の現状と課題について情報収集を行った。また、富山、水俣で現地視察を行い、日本の公害健康被害と環境破壊からの地域再生の経験について理解を深めた。さらに、中国においては、淮河流域の水汚染被害地域における飲用水源改善や山西省大同市の黄土高原における植生回復をめぐる日中草の根協力の経緯、現状、課題について把握に努めるとともに、中国の環境問題についてのボランティア活動に取り組む市民を含む会合にて、中国の環境被害・破壊への政策・社会対応について情報提供と意見交換を行った。 年間を通して、メンバーそれぞれの研究成果について所属学会、招待会合、研究集会等での口頭報告や雑誌・書籍での論文・論説の発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
中国の事例研究については6月に都内で中国発展戦略研究院 科学技術・社会発展研究所との国際ワークショップを開催し、東日本大震災・福島第一原発事故の事例と四川大地震の事例についての比較検討を行うことができた。 また中国のフィールド調査の成果については学会での研究報告だけではなく、都内にて市民を含む会合にて情報提供と意見交換を行うことができた。 さらに、北京で11月に開催された健康・環境・発展フォーラムの年次会合にて、日本の公害健康被害の典型例のひとつとしてイタイイタイ病をめぐる政策と実践の相互過程について報告を行い、中国の環境汚染による健康影響に関する専門家やNGOとの意見交換を行うことができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、国内では東日本大震災及び福島第一原発事故からの復興や環境政策、南海トラフ地震の被災リスクへの対応等について、中国では水汚染被害地域や森林破壊地域での環境被害救済や地域再生等について、情報収集と文献・実地調査を行い、政策と実践の相互作用のプロセスを明らかにしながら、環境・減災ガバナンスの現状と課題を検討する。 また都内等にて研究会合を開き、外部講師も招きながら、日本、中国、及び他国の環境・減災ガバナンスの事例についての知見を蓄積するとともに、環境・減災ガバナンスに関する研究ネットワークの拡大に努める。政策と実践の相互作用という視点において、アジア経済研究所で2年計画でスタートした基礎研究事業「水ガバナンスへのインタラクティブ・アプローチ:アジアの事例研究」と問題意識・分析枠組みを共有することから、当科研グループと合同研究会の開催等を通して有機的な連携を図る。また、国内外でフィールドや問題意識を共有する他の研究グループとも合同研究会の開催等を行い、研究ネットワークの拡大を図る。 フィールド調査や研究会合での議論を通して得られた有意義な知見を適宜、所属学会や関心を持つ市民による会合等で提供し意見交換を行い、環境・減災ガバナンスの学術的かつ実践的な共通枠組みの構築を図る。
|
Causes of Carryover |
国内・中国調査等の旅費の節約のため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内・中国調査の旅費不足分に充当予定。
|
Research Products
(14 results)