2014 Fiscal Year Research-status Report
ディオファントス方程式の変換とクリプトシステム原理の新展開
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26520208
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
平田 典子(河野典子) 日本大学, 理工学部, 教授 (90215195)
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Project Period (FY) |
2014-07-18 – 2018-03-31
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Keywords | 暗号 / 数論 / 代数学 / 不定方程式 / ディオファントス近似 / 一様分布 / 公開鍵暗号 / 電子署名 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度には,ハンガリーDebrecen大学Attila Petho氏らから専門的知識提供を受け,ディオファントス方程式の変換に負う公開鍵暗号プロトコルの問題点の洗い出しと応用に関して意見交換を実施した.ハンガリーBudapest工科大学のT. Kovacs氏,ハンガリーDebrecen大学 A. Berczes氏, L. Hajdu氏および,新たにFollath Janos氏も加わって実行された研究討議の成果としての論文も,現在まとめている.また東芝研究開発センターの秋山 浩一郎氏と数回にわたる研究討議を行い,別の視点からの標数0のディオファントス方程式の変換に負う新しい暗号原理の創成を試みた.秋山氏との共同研究の一部分をまとめて論文として投稿する予定である.一方,正標数の場合には,韓国KIAS研究所の Junsoo Ha氏にディオファントス問題に関する専門的知識を供与してもらい,S単数方程式の解の個数の下からの評価に関する考察を行った.これは解の個数の調節に必要な評価である. 現状において得られた知見は,全て論文として投稿する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度のPetho氏らとの議論を現在,論文にまとめて投稿準備中であるが,当初には予想していなかった電子署名への応用の可能性を含んだ,全く新しい基礎的な暗号原理を得たことがFollath Janos氏の参画によってわかった.これはディオファントス近似をもとにした原理であり,類似のものはないと思われる.また,東芝の秋山氏との不定方程式の単射写像に基づいた暗号原理開発のための議論も複数回重ねて非常に実りあるものとなった.論文の投稿を現在準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
ディオファントス方程式の求解困難性に基づく暗号原理を提供するために,現実に方程式を解かなくても解の存在範囲が推測できるような場合が起きないようにしなければならないという課題がある.ディオファントス近似の手法を適用できる方程式の求解問題の定式化について Petho氏,Kovacs氏,秋山氏らと共に,さらにその課題を引き続き考究する.この研究討議のためにハンガリーを平成27年度に訪問する予定である.
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Causes of Carryover |
ハンガリーDebrecen大学の共同研究者との研究討議のために,研究代表者が2015年2月にハンガリーを訪問する予定であったが,その予定が約半年間延期された.延期の理由はDebrecen大学において,ヨーロッパ持ち回りの代数の大きな研究集会である Journees Arithmetiques2015という会(参考URL: http://ja2015.math.unideb.hu/ )が2015年7月に開催され,共同研究者たちがその組織運営に当初の予想よりも時間を取られているためである.平成26年度である2015年2月から,研究集会の終了後の平成27年度である2015年秋に訪問を延期した.研究代用者の訪問によって効率よく研究討議を行うためには,やむをえない判断であった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年秋に,ハンガリーDebrecen大学の共同研究者Petho氏およびKovacs氏らを訪問する.共同研究の遂行のためには,こちらのほうが効果が上がると考えている.
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