2016 Fiscal Year Annual Research Report
The chemical form of organic radiocesium in the agricultural environment
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26520302
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
大瀬 健嗣 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 特任准教授 (90396606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北山 響 福島大学, うつくしまふくしま未来支援センター, 特任研究員 (40647244) [Withdrawn]
塚田 祥文 福島大学, 環境放射能研究所, 教授 (50715498)
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Project Period (FY) |
2014-07-18 – 2017-03-31
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Keywords | 放射性セシウム / 存在形態 / 土壌 / 懸濁物質 / 福島第一原発事故 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京電力福島第一原子力発電所事故により環境中に多量に放出された放射性セシウムは福島県の農林生態系に沈着し、農林業や住民の生活に深刻な影響を及ぼしている。放射性セシウムの物理化学的形態は農林生態系におけるその動態を解明するうえで重要な要素である。土壌中の放射性セシウムは化学抽出によって交換態、有機態、鉱物結合態に分画されるが、そのうちの有機態の放射性セシウムについては実際の存在形態や環境動態など未解明な部分が多い。また、これまでの研究により福島県内の河川や農業用水の懸濁物質中にも有機態に分画される放射性セシウムの存在が確認されているが、その詳細については明らかになっていない。本研究では、有機態放射性セシウムの実際の存在形態を明らかにするためにいくつかの実験を行った。 【方法】 土壌試料は福島県伊達市の森林と畑地から採取した。懸濁物質試料は同じく伊達市の河川から可搬型連続遠心分離機を用いて採取した。採取した試料は重液による比重分画を行った後、それぞれの画分について化学抽出を行い、放射性セシウムの存在形態を検討した。また、土壌試料から腐植物質を抽出し、抽出腐植中の放射性セシウム濃度を測定した。 【結果】 懸濁物質中の放射性セシウムは土壌と比較すると数倍高い濃度であったが、有機態放射性セシウムの割合は5%以下であり、土壌と比較して小さかった。また、交換態放射性セシウムはほとんど含まれておらず、大部分が鉱物結合態であった。比重分画の結果、画分ごとの放射性セシウム濃度および化学形態に差異が認められた。また、比重分画前に超音波処理を行うことにより、比重の小さい画分で交換態および有機態の放射性セシウムの割合が増加する傾向が認められた。また、フルボ酸および腐植酸には放射性セシウムはほとんど含まれておらず、粗大有機物中に多くが存在する可能性が示唆された。
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