2015 Fiscal Year Research-status Report
ウシを利用した食料循環システムの構築と実現のための政策提案
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26520306
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
廣岡 博之 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60192720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲村 達也 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00263129)
熊谷 元 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50221940)
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Project Period (FY) |
2014-07-18 – 2017-03-31
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Keywords | ウシ / ワイン副産物 / 窒素 / メタン / リン / モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
第1に、醸造所より産出されるワイン澱は通常は焼却・埋却処分されるが、家畜の飼料として利用できる可能性がある。そこで濃厚飼料多給条件を想定しin vitro培養条件でワイン澱の添加が発酵特性および培養残渣の脂肪酸組成に及ぼす効果を検討した。その結果、ワイン澱の添加により、培養残渣と培養液中の多価不飽和脂肪酸の割合は増加し、培養残渣中の一価不飽和脂肪酸割合は減少した。この結果からワイン澱を添加した飼料により家畜生産物中の脂肪酸組成改良に寄与できる可能性が示唆された。 第2にわが国の標準的な黒毛和種去勢牛肥育生産を想定した個体モデルを作成し、環境・経済的に最適な出荷日齢を検討した。その結果、1頭および1頭1年あたりの経済的に最適な出荷日齢は約27ヶ月齢であることが示唆された。一方で環境影響は、1頭1年あたりでの評価において、リン排泄量に対してはより早期に、窒素排泄量と温室効果ガス排出量に対してはより遅く出荷をするのが好ましい結果となった。したがって、最適と予測された27ヶ月齢での出荷は、現状の平均出荷月齢より2ヶ月程度肥育期間が短縮されるため、1頭あたりの環境影響も低減させることへと繋がり、現実的に最適であると考えられた。 第3にわが国において主要な各ウシ生産の個体モデルを作成し、それらを拡張して地域または国家レベルにおけるウシ生産からの環境影響と経済性の定量化を行った。その結果、各ウシ生産の個体レベルにおいて最も環境・経済的に効率の良い生産体系は酪農生産であることが示唆された。ウシ生産からの環境負荷物質排出量および利益には地域差が見られることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は農家レベルでの研究に重点を置いていたが、飼養形態や給与飼料の種類が多様で、代表値を得ることが難しいかった。そこで、より的確な問題の解決を図るために国家レベルでの分析の転換して、現在様々な検討を加えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの2年間の分析結果を詳細に検討し、さらなる問題解決に必要なシミュレーションを加えることで、新しい食料循環政策の提言のための方法論を提示したい。
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Causes of Carryover |
当初、ウシを用いた実験で多額の経費の出費を想定していたが、他の競争的資金で補充できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
得られた研究成果を海外の学会で発表する予定である。
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Research Products
(4 results)