2014 Fiscal Year Research-status Report
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26540007
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩田 覚 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (00263161)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 朗子 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (80361799)
中務 佑治 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (10723554)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 数理最適化 / 大域最適化 / 一般化固有値計算 / 機械学習 / 楕円体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,一般に効率的なアルゴリズムの設計が原理的に不可能であると言われている非凸最適化問題の中でも幾何的な背景を有する問題に焦点を絞り,その構造を利用して大域最適解を効率的に見出すアルゴリズムを設計する手法を確立することを目的とする. 本年度は,特に,一般化固有値計算を用いて,高次元空間中の2楕円体間の符号付き距離を計算する最初の多項式時間アルゴリズムを開発した.このアルゴリズムの漸近的な計算量は次元の6乗に比例する程度であるが,計算機上での数値実験によって,次元数が40程度までの中規模問題に対しては実用的な時間内に符号付き距離が計算できることが明らかとなった.この成果は,海外の論文誌に投稿するとともに,2015年7月に開催される国際数理計画法シンポジウムで発表する予定である. この問題の特殊な場合は楕円体中の1点から表面への最短距離を求める問題である.この場合は,一般化固有値問題に帰着して次元数の3乗に比例する程度の計算量で解ける.この事実を基に,フィッシャー線形判別分析の拡張を計算機上で実現し,学習性能を評価する計算機実験を行い,その結果を機械学習分野の国際会議AISTATSで発表した.ここで用いた手法は,非線形関数一般の最小化問題を解く信頼領域法の中で繰り返し使われる信頼領域部分問題の解法に一般化できる. さらに,楕円体間の符号付き距離の計算で用いた手法が制約式の本数が高々2本の2次制約2次計画問題一般にも適用可能であることを明らかとなった.この成果は,海外の論文誌に投稿するとともに,Minneapolis のIMAで開かれたワークショップにおける招待講演の中で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2本の制約を含む2次制約2次最適化問題に対する多項式時間アルゴリズムの開発は,当初の研究計画に含まれていなかった望外の成果である.定数本数の制約条件を持つ2次制約2次計画問題の計算複雑度は長年未解決であった.2013年にBienstockによって,多項式時間アルゴリズムが設計されたが,実装が困難であることが予想され,実際に計算機実験による性能評価は発表されていない.我々の成果は,2制約の場合に限られるものの,多項式時間アルゴリズムを初めて計算機上に実現して,実際上の性能を示したという点で数理最適化法のフロンティアを着実に拡げている.
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Strategy for Future Research Activity |
制約式の本数が定数の2次制約2次計画問題一般に対して,一般化固有値計算を用いた手法を拡張することを試みる.機械学習やシステム制御に現れる非凸最適化問題に一般化固有値計算を用いた方法論が広く適用できる可能性を探求する.
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