2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26540010
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
青嶋 誠 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90246679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢田 和善 筑波大学, 数理物質系, 助教 (90585803)
赤平 昌文 筑波大学, 名誉教授 (70017424)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ビッグデータ / 潜在構造分析 / 異常値 / 欠損値 / 非正則推定論 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、ビッグデータの潜在構造分析に取り組み、ビッグデータに含まれる潜在構造をモデル化し、巨大なノイズに埋もれた潜在空間に高速かつ高精度な推測法を確立した。 従来の潜在構造分析は、スパース性とノイズの正規性や成分間のIIDといった、ビッグデータの特徴をまったく捉えてない非現実的な仮定のもとで展開されていた。青嶋と矢田は、こういった非現実的な仮定を一切入れず、多様なビッグデータに十分対応できる柔軟な潜在構造を考えた。まず、ビッグデータを巨大なたった一つの高次元データ行列と解釈し、潜在構造とノイズを柔軟な一つの高次元モデルとして捉えた。潜在構造の非スパース性に着目して、ビッグデータの特異値にパワースパイクモデルを提唱し、理論的な考察と実際のビッグデータ解析でモデルの妥当性を検証した。さらに、青嶋と矢田は、ビッグデータの特異値が従来の方法では推定できないことを証明した。巨大なノイズが推定量の不一致性を招くためである。青嶋と矢田は、赤平と意見交換を密に行い、ノイズ掃き出し法を理論的に拡張した方法を考え、巨大なノイズを除去することで特異値を推定し、非スパースな特異値モデルにもとづく高速かつ高精度な潜在構造の推定法を開発することに成功した。 得られた結果は、学術論文として纏められ、既に出版されている。また、オーストリアで開催された国際学会での招待講演をはじめ、日本統計学会・日本数学会・京都大学数理解析研究所RIMS研究集会などで多くの学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した研究の目的に沿って、ビッグデータの統計理論の開拓に向けて、世界に先駆けた第一歩となる成果が論文として出版された。シンポジウムも開催して、研究成果に関する意見交換も活発に行われている。それゆえ、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ビッグデータにおいて、従来にある異常値の検出法や欠損値の補填は、理論・計算コストの両面で問題がある。本課題の集大成として、異常値・欠損値が混入したビッグデータの潜在構造分析に、高速かつ高精度な処理を完成させる。
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Causes of Carryover |
次年度は最終年度に当たり、本課題の研究成果に関する国際シンポジウムを開催する予定である。開催資金の一部として、これを使用したいため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
11月に、本課題に関する国際シンポジウムを、筑波大学で開催する予定である。
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