2014 Fiscal Year Research-status Report
シェイプ空間上の確率分布族が持つ特異構造に対する情報幾何学的アプローチ
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26540013
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
清 智也 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (20401242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 潮 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60516897)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シェイプ空間 / 情報幾何 / 可微分多様体 / テキスタイル集合 / 国際研究者交流 / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 本研究の主な研究対象であるシェイプ空間(形状空間)に関連して,テキスタイル集合という集合を新たに定義し,その幾何学的性質を調べた.シェイプ空間とは,与えられたサイズのデータ行列全体がなす集合に対し,平行移動・回転・拡大縮小について同一視して得られる空間のことであり,画像処理や形態学などの分野で重要な対象となっている.一方,テキスタイル集合とは,textile plot と呼ばれる高次元データの可視化法に関連する集合である.シェイプ空間についてはその幾何学的性質が既存研究により示されているが,テキスタイル集合については明らかになっていなかった.今年度は,低次元空間におけるテキスタイル集合の具体的な表現を求めた.また高次元の場合も基本的な性質を確認した. 2. フィッシャー・ビンガム分布族と呼ばれる球面上の分布族について,その正規化定数が満たすべき偏微分方程式(ホロノミック系)について調べた.特に,パラメータが退化した場合についての方程式の導出も行った.同分布族については,既存研究で偏微分方程式が導出されているが,退化する部分は完全には明らかになっていなかった.今回の結果は,この部分に焦点をあてており,近年注目を浴びつつあるホロノミック勾配法への貢献を果たすものである.また,球面はシェイプ空間の特殊な場合であるため,シェイプ空間上の確率分布族を考察する上でも重要な足がかりであると考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的は,シェイプ空間上の確率分布族について,情報幾何学的な観点から統計的推測法を確立することであるが,その第一歩として,シェイプ空間そのもの,あるいは関連する集合の幾何学的性質を調べておくことは意義がある.この意味で,おおむね順調に進展しているものと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見をふまえ,シェイプ空間上の確率分布族の特異性を考察し,より良い統計的推測法の構築を目指す.
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Causes of Carryover |
次年度に海外(イギリス)にて研究打合せを行うため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年4月から5月にかけて、イギリス・ケント大学に訪問し、Alfred Kume 博士と研究打合せを行う。また計算機周辺機器の購入も予定している。
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