2015 Fiscal Year Research-status Report
シェイプ空間上の確率分布族が持つ特異構造に対する情報幾何学的アプローチ
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26540013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清 智也 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (20401242)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 潮 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (60516897)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | textile plot / 情報幾何 / 可微分多様体 / ホロノミック勾配法 / 客観的総合指数 / 国際研究者交流 / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の対象であるシェイプ空間(形状空間)に関して,以下の3つの研究を行った. 1. 昨年度に引き続き、テキスタイル集合の幾何学的性質を調べた.ここでテキスタイル集合とは,textile plot と呼ばれる高次元データの可視化法に関連する集合である.特に,テキスタイル集合における測地線や曲率の計算を行った.また昨年度得られた結果を国際学会にて発表した. 2. 昨年度に引き続き、フィッシャービンガム分布族と呼ばれる球面上の分布族について,その正規化定数が満たすべき偏微分方程式(ホロノミック系)を調べた.また,シェイプ空間上の確率分布に対しても同様のアプローチが可能であるかどうか検討した. 3. 本年度は新たに,客観的総合指数を提案した.これは,「5科目の成績データ」のような,各変量に順位(優劣)をつけられるような多変量データに対し,その総合的な評価を与えるための一手法である.各変量に適切なスケーリングを施すという意味で textile plot に関連しており,またスケーリングした後のデータの集合を考察することはシェイプ空間の理解にもつながるものである.得られた結果は国際雑誌に投稿し,受理された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主目的は,シェイプ空間上の確率分布族について,情報幾何学的な観点から統計的推測法を確立することであった.本年度はその準備としてシェイプ空間や関連する集合の性質を調べるとともに,ホロノミック勾配法による数値計算的な側面も検討できた. 加えて,当初予期していなかった成果として,客観的総合指数という新しい総合指数の構成法を示すことができた.このような成果が得られたことは,挑戦的萌芽研究の趣旨に鑑みれば順調な進展であると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた知見を踏まえ,シェイプ空間上の確率分布族の特異性を考察し,より良い統計的推測法の構築を目指す. また,純粋な幾何学の立場からは,テキスタイル集合の測地線や曲率を調べることは重要な課題であり,次年度も継続する. また,本年度提案した客観的総合指数を様々な実データへ適用する.また非線形なスケーリングへの拡張も試みる.
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Causes of Carryover |
次年度使用額は少額であり,交付額を無理なく使用した結果である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究に必要な計算機を購入する際に使用する.
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