2015 Fiscal Year Research-status Report
代数的位相幾何の方法による統計的データ解析の新たな展開
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26540016
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Research Institution | The Institute of Statistical Mathematics |
Principal Investigator |
福水 健次 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (60311362)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平岡 裕章 東北大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10432709)
栗木 哲 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (90195545)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多変量解析 / 代数的位相帰化 / 多様体学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は以下のような実績が得られた。 (1)位相的データ解析において重要となるパーシステント図のベクトル化に関して、正定値カーネルによる分布埋め込みを用いた方法を提案し、この目的に適合したパーシステンス重み付きガウスカーネルを提案した。また、このカーネルによるベクトル表現を、タンパク質のクラス識別問題に適用したところ、パーシステント図から発見的に定義した特徴ベクトルを用いた従来の方法よりも高い識別率を示すことが確認できた。このことは、カーネルによる情報抽出が効果的になされていることを意味している。この成果をまとめた論文を、機械学習分野のトップ国際会議 International Conference on Machine Learning 2016 に投降した(H28年4月採択済み)。 (2)遺伝系統樹解析において、遺伝子ごとに作成された系統樹の全体の構造を分析するためのクラスタリング法に関して検討を行った。系統樹はツリーであらわされるため、ツリー全体の空間に自然に導入される距離を考え、その距離を用いた多様体学習とクラスタリングを組み合わせる方法を提案した。シミュレーション、実データの遺伝子データに適用して、意味のあるクラスタ構造が抽出されることを確認した。この研究成果を論文としてまとめ国際雑誌に投降した(査読中)。また、ツリー距離に関する数理的な特徴づけを研究し、その結果をまとめた論文が国際一流紙に採択された。 (3)位相的データ解析の方法を、統計的検定の重要な方法であるアブストラクトチューブ法へ適用するための検討を行った。特に Edelsbrunerらが展開している一般化包徐原理の応用を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・パーシステンス重み付きガウスカーネルを用いると、パーシステント図による位相的データ解析を包括的なデータ解析のツールとして提供することができ、この分野に対する影響力は大きいと考えている。 ・ツリースペースによる系統樹クラスタリング法は、同じ異なる遺伝的履歴を持つ遺伝子を分類できる生物学的にも新しい発見につながる可能性がある。
以上のような観点に基づいて、研究の進捗はおおむね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、以下のように研究を推進していく。 ・パーシステンス重み付きガウスカーネルを、さまざまな課題に応用する。 ・ツリースペースにおける多様体学習に対して、位相的データ解析の方法を検討する。 ・一般化包徐原理を用いた効率的なアブストラクトチューブ計算法を検討する。
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Causes of Carryover |
旅費などの予定金額に若干の誤差が出たために,予定から54748円の剰余が発生した.無理に0にすることなく,次年度に旅費の一部として充当することにした..
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度の成果発表の旅費の一部として充当する計画である.
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