2015 Fiscal Year Research-status Report
メモリウォール問題を突破するバンド幅圧縮ハードウェア基盤技術の創出
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26540017
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐野 健太郎 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (00323048)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バンド幅圧縮 / ハードウェア / 高性能計算 / FPGA / リコンフィギャラブル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度では、前年度に設計したバンド幅圧縮ハードウェアの改良と試作実装を行い、実機上で動作するシステムを構築して、高性能計算に対する本手法の性能評価の準備を行った。まず、対象とする数値流体力学計算にバンド幅圧縮ハードウェアを適用するために、流体シミュレーションのストリームハードウェアを設計し、FPGA上に実装した。次に、そのストリームハードウェアの複数の入出力チャネルのそれぞれを並行に圧縮・展開するようなバンド幅圧縮ハードウェアを実装した。バンド幅圧縮を用いた計算では、まず、DMA(direct memory access)により外部メモリから圧縮データストリームを読み出す。次に、分配器により、圧縮データストリームを複数のチャネルに分配し、それぞれを展開器に入力する。複数の展開器により並行して復元された複数の非圧縮数値データは、流体計算ストリームハードウェアに入力される。流体計算ストリームハードウェアはパイプライン処理によりnタイムステップ分の流体計算を行い、結果を複数の数値データとして出力する。出力された複数の数値データは、複数の圧縮器により並行して圧縮され、結合器により単一の圧縮データストリームに変換される。圧縮データストリームは、DMAにより外部メモリに書き込まれる。以上により、外部メモリに対し読み書きされるのは圧縮されたデータとなるため、外部メモリ帯域以上の数値データ帯域を計算ハードウェアに供給することが可能となる。 以上のシステムに加え、圧縮ハードウェア、流体計算ストリームハードウェア、DMA、性能計測用カウンタ等を制御するためのソフトウェアとして圧縮制御ライブラリを開発した。これらを用いた実験により、バンド幅圧縮を用いる場合でも正しい計算が行えることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画していた研究内容を実施したことに加え、バンド幅圧縮ハードウェアとそれを組み込んだ実験システムを構築でき、その動作確認を完了している。以上のことから、本研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度ではバンド幅圧縮ハードウェアの改良・実装とその高性能計算実験システム構築を完了できたため、今後は、その性能評価を詳細に行うべく研究を進める。また、提案手法を汎用化し様々な問題に応用可能とするために、圧縮チャネル数等をパラメータ化して様々な構成の圧縮ハードウェアを自動生成するようなスクリプトプログラムを開発する。また、流体シミュレーション以外の計算にも応用し、性能評価を行う予定である。また、性能向上のみならずメモリアクセスの減少による消費電力抑制効果についても評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
人件費・謝金の支出を抑えたことと、回路設計には既存のPCを使用して研究開発を行ってきたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度は、詳細な実証実験を加速するために、大規模回路設計用に使用する最新のPC等の物品費として予算を使用することに加え、研究成果を発表するための旅費に使用する。
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