2014 Fiscal Year Research-status Report
量子化器設計を工夫した広帯域・低消費電力デルタシグマA/D変換器実現への挑戦
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26540020
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
兼本 大輔 山梨大学, 総合研究部, 助教 (90603332)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | デルタシグマ変調器 / 低消費電力 / A/D変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はデルタシグマ変調器を有したデルタシグマA/D変換器の新設計法の解明にある.デルタシグマA/D変換器は,高い線形生・SNRを有する観点から,様々な分野で利用されている.通常,A/D変換器は処理可能な信号帯域と消費電力の間にトレードオフの関係が存在する.しかし,特にモバイルICT機器において,広帯域A/D変換を低消費電力動作で実現できる新たなA/D変換器の実現が求められている. 広帯域デルタシグマA/D変調器を設計するうえで,積分器を有するループフィルタの消費電力が問題になるケースが多く,主な研究対象とされてきた.本研究では,従来の主な研究対象であるループフィルタだけではなく,量子化器の利得に着目した新たな低消費電力設計方法の確立を目指し研究を始めた.初年度は量子化器利得をパラメータに持つデルタシグマ変調器のシステムレベル設計を行い,各パラメータの最適設計方法の解明に挑戦した.具体的には量子化器の利得と各積分器の消費電力,さらに各デバイスの雑音量を考慮し,最も消費電力が低く実装可能な設計方法の解明に取り組んだ.この最適設計方法は数値解析ソフトおよび実際のCMOSデバイスのパラメータを用いた設計を通して,その有効性を確認した. 今年度の研究成果は3回の国内会議および1回の査読付き国際会議で発表を行うなど,国内外に研究成果を広めることができた.さらに,研究代表者が実施してきたA/D変換器の新たな設計手法に関して,第20回山梨科学アカデミー奨励賞を受賞するなど成果は高く評価されている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
量子化器の利得,オペアンプの消費電力および各素子の雑音の影響に関するモデルを作成し,デルタシグマ変調器の設計に利用出来た.作成したモデルは,MATLAB/Simulinkをベースにしたビヘイビアモデルであり,本研究では設計に利用するCMOSトランジスタのモデルを活用することで,そのプロセスに最適な利得を導き出す事が出来た.本モデルを用いて,無線通信に用いるデバイスを想定した最適設計を行った結果,オペアンプの設計仕様を緩和し,消費電力を抑えられる事例を明らかにすることが出来た.
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Strategy for Future Research Activity |
一年目の成果を基に,さらなる詳細なプロセス情報を用いてた最適化設計方法を明らかにする.その設計方法をもちいて無線通信デバイスの仕様を満たすA/D変換器の設計を行い,消費電力の削減効果を示すことを目指す.
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Causes of Carryover |
当初購入する予定であった物品の購入が,研究計画を作成した時点に比べ価格が大幅に変動した為,一年目の研究費のみで購入することが不可能になった.そこで二年目にまとめて物品を購入し研究を進める研究計画に修正を行った為,来年度使用予定額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由により,研究計画を若干修正し,一年目の差額と二年目の費用を物品購入費に充て,二年目の該当物品の購入を行う予定である.
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Remarks |
研究代表者が,A/D変換器の設計に関して,公益社団法人山梨科学アカデミー 第20回山梨科学アカデミー奨励賞を受賞した.
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Research Products
(5 results)