2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26540028
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
嶋吉 隆夫 京都大学, 情報学研究科, 助教 (60373510)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 晃 立命館大学, 生命科学部, 教授 (60252491)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 形式手法 / 数値解法 / 記述言語 / 自動プログラミング |
Outline of Annual Research Achievements |
常微分方程式の初期値問題解法全般を宣言的に記述可能な記述形式の設計を行った.このとき,常微分方程式の解法の中で用いられる非線形連立方程式の求根アルゴリズムや数値微分法,収束判定法などについても記述形式を設計した. これまでに発表していた記述形式では,一つの解法を不可分な形で一体として記述する必要があったため,数値解法で用いる部分解法を別のものに置き換える場合でも,新たに数値解法全体に体して別途記述する必要があった.そこで,設計を根本的に見直すことで,解法中で用いられる部分解法をモジュール化して記述できるようにすることで,部分解法を容易に交換可能な設計とした.また,従来形式では,固定次数かつ固定刻み幅の,主にルンゲ・クッタ系列の解法を記述対象としていた.これに対して,新たに設計した記述形式は,可変次数・可変刻み幅の線形多段解法などに対応する能力を備えている.また,従来形式では,数値解法の記述で扱われる変数について,実数や実数ベクトルであるということを明示的に記述する必要があった.さらに,これを改めて体上の元からなる列に関する数式として記述することで,広く一般的に数値解法が取り扱えるようにしている. 従来の記述形式について,形式記述を中間形式に変換し,中間形式からプログラムコードを生成する処理系を既に開発している.新たに設計した記述形式を入力として,中間形式へと変換するアルゴリズムを検討した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画には,常微分方程式の初期値問題解法全般を対象として記述可能な形式言語,及び,部分問題解法をモジュール化して交換可能とする方式を検討すると記載していた,それに対して,その記述言語・方式を設計した. また,研究実施計画には,新たな記述形式を入力としてコードを自動生成する処理系を開発するとしていた.これに対して,新たに設計した記述形式を中間形式に変換するアルゴリズムを検討した.これまでに,従来の記述形式から変換された中間形式からコードを生成する処理系は開発できており,また,平成27年度に予定していたMPIコードの生成についても開発できている.検討したアルゴリズムの実装が完了すれば,新形式からのコード生成が可能になる.さらに,平成27年度に予定していた最適化したコードの生成についても,GPGPUを対象として既に検討を進めている.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに,新たに設計した記述形式を解釈し,コード生成のための中間形式へと変換するアルゴリズムを検討しており,その実装を進める.その実装には非常勤のプログラマを雇用して充てる予定である,なお,記述形式とコード生成方式について知的財産権の取得を検討しており,まずは開発に先だって知的財産権取得の手続きを進める. 記述形式については,さらなる記述対象の一般化を進め,様々な数値解法を統一的な形式で記述できる設計を検討する.コード生成系については,Fortranコードの生成に対応させる予定である.また,最適化したコードを生成する手法について実現させる.
|
Causes of Carryover |
新たに設計した記述形式から中間形式を生成する処理系の開発を見込んでいたが,知的財産権取得の手続きを優先するためにアルゴリズムの設計に留まり,開発のための謝金支出が次年度に持ち越された.また,知的財産権取得の手続きが終わるまで学会発表を控えるべきと判断したため,旅費の支出も予定よりも少なくなった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
知的財産権取得手続きに支出するとともに,次年度に持ち越された開発と学会発表を行う予定である.
|