2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26540028
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
嶋吉 隆夫 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (60373510)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 晃 立命館大学, 生命科学部, 教授 (60252491)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 形式手法 / 数値解法 / 記述言語 / 自動プログラミング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度では常微分方程式の初期値問題全般を対象とした記述形式の設計を行ったが,平成27年度はこれをさらに一般化して,内部で反復処理を行う数値解法(反復型数値解法)一般を対象とする記述形式を設計した.この記述形式では,反復型数値解法は漸化式として一般化して記述する.また,そこに現れる代数変数の型指定は行わない.さらに,アルゴリズムを数学関数として参照できるようにしたことで多重反復が可能である.これらにより,設計した形式は理論的にあらゆる反復型数値解法に対する記述能力を持つ.つまり,反復型数値解法を統一して宣言的に記述可能にした.本内容について特許を出願した. 設計した記述形式を計算コードに変換する処理系についても開発を進めた.まず平成27年度では,主に非線形連立方程式の求根アルゴリズムを対象として,計算コード変換系の実装および検証を行った.この処理系では,入力される形式記述の構文解析を行った後,各数式を正規化した上で,数式間の依存関係を解析する.得られた依存関係から数式の計算順序に関する半順序関係を得る.さらに,変数の添字間の関係を解析することで,反復処理部分を抽出する.これらの解析結果に基づいて,計算コードを出力する. これとは別に,数式系をNVIDIA CUDAコードに変換する場合を対象に,大域的コード最適化の手法について研究を行った.この手法は,変数の局所参照性が高くなるように数式の計算順序をヒューリスティックに決定するものである.現状で概ね数%の実行時間短縮を達成しているが,実行時間が増加してしまう場合などもあり,今後さらなる検討が必要である.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画では最終年度である平成28年度まで記述形式の一般化を進める計画であったが,既に平成27何度中に,様々な数値解法を統一的に記述できる方式を検討し,設計を完了した. 処理系については,新設計の記述形式について,主に非線形連立方程式の求根アルゴリズムを対象とした実装と検証を行っており,今後これを拡張していく必要がある. 研究実施計画に記載の通り,コード生成の最適化手法を開発した.ただし,実装し性能検証を行った結果,さらなる検討が必要であることが明らかとなった.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に設計した記述形式の処理系について,様々な数値解法を対象として実装の改良および検証を進める.特に,状況に応じた処理の切り替えが含まれるアルゴリズムに対する処理について入念に検証する.実装した処理系は最終的にオープンソースとして公開する. コード生成の最適化手法については,NVIDIA CUDAコードの出力を対象として手法の改良を行い,最悪の場合でも実行時間が増加しない手法を開発する.手法の改良に当たっては,既存のコンパイラ技法なども参考にしながら,現在のヒューリスティック手法を見直すことも含めて検討する.
|
Causes of Carryover |
平成26年度実施状況報告書に記載の通り,年度初頭から知的財産権の取得手続きを優先させて進めたが,想定よりも明細書の準備などの特許出願手続きに時間を要した.このため,出願内容に関する発表が2015年中は行うことができず,学会発表に係る費用が支出されなかった. また,11月1日付けで京都大学から九州大学に異動したが,両大学の事務処理作業の都合によって,予算残額が2月に入るまで不明であった.その事情により,当初予定していた予算支出が行えなかった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表,論文投稿を積極的に行い,それに関する費用を支出する. 前年度に購入を予定していたが前記の理由により購入できなかった計算機を購入し,処理系の開発を加速するとともに,実装の検証を行う.
|