2015 Fiscal Year Research-status Report
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26540030
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
八杉 昌宏 九州工業大学, 大学院情報工学研究院, 教授 (30273759)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プログラミング言語 / 計算機システム / ソフトウエア開発効率化・安定化 / ディペンダブル・コンピューティング / ハイパフォーマンス・コンピューティング / 型付中間言語 / メモリモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
汎用性の高い型付中間言語、すなわち広く様々な高水準言語からの翻訳の共通のターゲットとしての低水準の型付中間言語を、安全で高性能な言語処理系(計算基盤)が作成できる形で定義することは、高水準言語間の連携などの点で言語処理系技術に貢献しようとする研究者の挑戦的な夢である。さらにマルチコア化を活用した共有メモリによる高性能な多言語並列計算の安全性確保(データレース回避の検証等)は極めて挑戦的である。本研究では近年の型理論の成果(依存型等)を踏まえて、その設計に挑戦している。 本研究は型付中間言語を開発する形で進めているが、平成27年度は、型付中間言語レベルでの実装を視野にいれつつも、spawn, syncコンストラクト等による並行処理が記述できる高水準言語のレベルでのデータレース回避について研究を進めた。fractional permissionに関する既存研究を拡張することで、高水準言語レベルでは、並列高水準言語で記述された再帰的並列LU分解という行列計算の例題におけるデータレース回避の検査が可能との確信を得た。拡張としては、配列(行列)の部分配列(行列)に関するpermissionを取り出すための空間的fractionを導入している。 また、これに関する経過報告的な発表を行い、spawn, syncなどを「実装」する型付中間言語でもデータレース回避を検査するためには、fractional permission をデータ構造等にパックして正確に授受可能とする仕組みが必要といった議論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題が挑戦的であることもあるが、スレッドが扱える高水準言語レベルでのデータレース回避の検査を、高水準のスレッドをデータ構造で実現する型付中間言語レベルでも再現するための手法の整理などもさらに必要となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
最も挑戦的な多言語(複数の高水準言語)については、せめて有望なアプローチ方法を見出したい。例えば、多言語間では、抽象的なイベント通知、同期待ちのみ可能とするところから始めることも考えられる。
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Causes of Carryover |
平成26年度に効率よく予算を利用するため集約可能な物品購入を持ち越したが、平成27年度には使用しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
持ち越した物品購入を計画している。
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