2014 Fiscal Year Research-status Report
下水道の短期間検査のための複数浮流ノード連携によるビデオ伝送システムの開発
Project/Area Number |
26540034
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
石原 進 静岡大学, 工学研究科, 准教授 (10313925)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤野 弘明 愛知工業大学, 情報科学部, 講師 (10609431)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 下水管検査 / 映像伝送 / アドホックネットワーク / センサネットワーク / 無線通信 / 浮流型センサ / モバイルセンシング |
Outline of Annual Research Achievements |
マンホールから下水管に投入した複数のソフトボール大カプセル型カメラ搭載ノードによる長区間下水管内無人ビデオ撮影を可能とするシステム実現のための技術開発を以下の2テーマに分けて行った。 【サブテーマI: 下水管内無線マルチホップ高信頼ビデオ伝送ネットワーク構築技術の開発】i) 土中に埋設した直径200mmの実験用下水管を用いて、920MHz、2.4GHz、5GHzの3つのISM帯を用いて無線通信特性の測定を行った。この結果、狭い下水管内での伝播無線通信では、フレネルゾーンによる制限によってより周波数の高い5GHzの帯域を用いることが通信距離確保のためには有効であること、下水管内ではアンテナを管中央に配置するべきであること、指向性アンテナの利用が効果的であることを確かめた。しかし、オムニアンテナを用いた場合、国内の無線LANで許可されている10mWの出力では通信距離は5m程度が限度であり、より通信距離を得られる手段の検討が必要であることが分かった。 ii) アクセスポイント至近場所で蓄積済高品質ビデオデータをバースト的に転送することと、アクセスポイントから離れた場所での低品質画像の連続的送信を行う方式を組み合わせたビデオ転送方式の基礎設計を行った。また、5GHz無線LANとビデオカメラを搭載した通信部分確認用の試作ノードを作成し、陸上での基礎的な試験を行った。 【サブテーマII: 浮流カメラ撮影ビデオ解析技術の開発】CADソフトを用いて,カメラを持つ移動型船を設計した。また、この設計の船の移動を仮想空間内でシミュレーションし、その移動経路を確認した。さらに3次元プリンタを用いて移動型船を試作し,下水管路を想定した塩ビ管を用いて移動実験を行った。この結果,移動媒体の重心位置の微調整やカメラの姿勢改善などが必要という課題が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サブテーマIに関しては、今年度は下水管内での測定とそのための装置作成に多くの時間を費やしており、計画していたプロトコルの基礎設計は終えたものの、その詳細設計とシミュレーション評価までには至っていない。今後、研究の重点をプロトコル開発にシフトし、プロトコル設計とその評価、実装を進めていく予定である。 サブテーマIIに関しては、名古屋市水道局の見学や同局からの映像提供を得るための調整に時間を費やしたため,達成度としては少し遅れている。一方で参考文献として得られた文献だけでは情報収集が難しい情報も入手することができたため、今後は映像解析と移動型船の設計に集中して実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
サブテーマI: 下水管内無線マルチホップ高信頼ビデオ伝送ネットワーク構築技術の開発 下水管内でより長い通信距離を確保するため、MIMOを用いたより高速な通信速度を得られる通信方式(IEEE802.11ac)を用いた実環境実験を行うほか、可視光あるいは赤外線を用いた通信実験を行い、実用的な通信距離を確認する。これらの技術による至近距離での最大通信速度と長距離通信における最低限の通信速度に基づいて、位置に応じて適切に映像転送モードを変化させる方式を開発する。本年度までの基礎設計を詳細化し、シミュレーションによってその基本的効果を明らかにするとともに、具体的な実動プロトコルの開発を行い、試作ノード上で通信実験を行う。最終的にはサブテーマIIで開発している船と映像処理技術と統合し、実験用下水管を用いた測定実験を行う。 サブテーマII: 浮流カメラ撮影ビデオ解析技術の開発 本年度の成果に基づいて、傷検出精度の向上と、移動型船の改善を行っていく。傷検出には、撮影された映像の品質改善と映像上の傷の三次元位置の推定を行う。撮影される映像には、移動媒体自体の傷や汚れなどのノイズが存在するため、ノイズ除去に基づく品質向上を行う。そして映像とセンサにより移動型船の移動量を推定し、調査管路内の傷の位置を推定する。また、移動型船を三次元プリンタで生成する際に10万円の制作コストが掛かっているため、形状変更に基づく低コスト化を目指す。本年度の知見に基づいて、船の小型化及びカメラの選定を行う。本年度はカメラを前方に向けて撮影していたが、今後は全方位カメラを導入し、船の形状への影響を抑える。すでに全方位カメラを導入する際の映像と形状に対する影響を考察しており、次年度で進める準備を整えている。
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Research Products
(5 results)