2014 Fiscal Year Research-status Report
超高速大容量データセンタネットワークに適した新しいトラヒック制御
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26540039
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山本 幹 関西大学, システム理工学部, 教授 (30210561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 孝志 関西大学, システム理工学部, 准教授 (10510472)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ネットワーク / データセンタ / トラヒック制御 / ネットワーク運用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,データセンタネットワーク環境に適した新たなトラヒック制御理論の確立を目的としている.データセンタは,ラックに設置された多数のサーバが多段構成データセンタネットワークで接続される構成をとる.また,各サーバに柔軟に設定される仮想マシン構成により,トラヒック分布は不均質に変動する.このため,トラヒックが一時的にある箇所に集中するホットスポットが発生し,ここを通過するフローの性能劣化をもたらす.本研究課題では,このようなデータセンタネットワーク環境に適した新たなトラヒック制御理論の確立を目的とし研究を遂行してきた. 具体的な研究内容としては,「1)時間軸方向へのトラヒック分散をはかる輻輳制御」「2)空間軸方向へのトラヒック分散をはかるトラヒックエンジニアリング」「3)帯域設計により大規模トラヒック収容を可能とする光ネットワーク設計」という大きく分けて3つのテーマに取り組んできた.1)においては,データセンタの低遅延超広帯域環境という,これまでの輻輳制御研究分野が取り扱ったことのない新しい領域において,さらにロスレスなどのかなり厳しい制約条件のもとで,イーサネットスイッチにおいてフロー間で公平に帯域を分配する輻輳制御の開発を行った.2)においては,トラヒックエンジニアリング技術によるデータセンタネットワークの最適ルーチングを検討した.データセンタにおいては各サーバに配置する仮想マシン構成を比較的自由に設計可能であるが,平成26年度は基礎実験として,仮想マシン構成を固定化した際のトラヒックエンジニアリングを扱った.3)ではデータセンタネットワークの階層構成の上位に位置するコア部への,光ネットワーク技術の適用を検討した.光ネットワークでは波長分割多重を用いて回線(波長)単位でトラヒック制御を行うが,その特性を考慮したネットワーク設計を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたとおり,本研究課題は大きく分けて三つの研究テーマに取り組んできた.「1)時間軸方向へのトラヒック分散をはかる輻輳制御」に関しては,当初予定していた通り,データセンタネットワークにおけるフロー間の帯域分配の不公平性についての問題を提起し,その解決手法を提案した.また,計算機シミュレーション実験により,提案した手法の有効性を確認した.この成果は国際会議1件,論文誌1件での発表を行っている.国際会議での発表はBest Paper Awardを受賞している. 「2)空間軸方向へのトラヒック分散をはかるトラヒックエンジニアリング」に関しては,当初の予定よりも遅れている.当初は,平成26年度において(a)仮想マシン構成を固定化した際のトラヒックエンジニアリング,(b)ルーチングを固定化した際の仮想マシン構成問題,(c)トラヒックエンジニアリングと仮想マシン構成を融合したトラヒック設計,の3つのステップを経て課題を遂行する予定であったが,(a)仮想マシン構成を固定化した際のトラヒックエンジニアリングのみの実施に留まった.なお,(a)について,計算機シミュレーション実験によりその有効性は確認している. 「3)帯域設計により大規模トラヒック収容を可能とする光ネットワーク設計」では,当初の予定通り,2)で得られたトラヒック制御技術と協調的動作を行うための新たな光ネットワーク設計の検討と基礎実験を行った.3)に関しては,平成27年度に本格的な検討や評価を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度においては,サブテーマ1),2),3)において提案した手法の性能評価や改良を行い,最終的にそれらを統合したうえで,計算機シミュレーション実験や実機プロトタイプを用いた実証実験により明らかにする予定である.まず1)では,更なる手法の改良及びその性能評価・考察を行い,その成果について学会論文誌へ投稿することを予定している.2)では平成26年度に遂行した(a)仮想マシン構成を固定化した際のトラヒックエンジニアリングによって得られた結果や知見をもとに,残りの(b)ルーチングを固定化した際の仮想マシン構成問題,(c)トラヒックエンジニアリングと仮想マシン構成を融合したトラヒック設計,について取り組む.また,それらの結果に基づいて,3)についての本格的な検討及び評価を行う予定である.2),3)についても,得られた結果をそれぞれ国際会議や学会論文誌に投稿する予定である.最終的には,1),2),3)を統合した評価を行う. なお,本研究全般にわたり,データセンタネットワークに関する第一線の研究を行っている富士通研究所のスタッフとの意見交換を持つことを予定している.本研究課題で開発した方式等を,実際のデータセンタネットワーク運用において適用する際の問題点,注意点などのアドバイスを頂き,実際の運用時に適した方式へとブラッシュアップする予定である.そのようにすることで,当初の予定に対する遅れへの対処につながると考えている.
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Causes of Carryover |
当初平成26年度の物品費として90万円申請していたが,研究に使用するワークステーション及びノートパソコンが予定より安価に購入できたため,20万円程度余った.また,研究の補助として大学院生を雇う予定であったが,補助がなくてもある程度研究が進んだため,大学院生を雇わずその分の人件費が余った.さらに,その他として印刷費等を考えていたが,まだ成果が学術誌に掲載されておらず,必要とならなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
もともと平成27年度には物品費を使用する予定ではなかったが,平成26年度度に余った物品費により計算用のパソコンをもう一台購入することで,研究の効率を上げる予定である.また,さらに効率的に研究遂行するために,平成26年度で使用できなかった人件費と平成27年度の人件費とあわせて,2名の大学院生を実験の補助として雇い,得られた結果の整理等を行ってもらう(2名×100,000円).それらを抜いた残りの研究費は,成果発表のための学会参加費や,学術誌の印刷費等に利用する予定である.
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Research Products
(2 results)