2014 Fiscal Year Research-status Report
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26540064
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
熊田 孝恒 京都大学, 情報学研究科, 教授 (70221942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 隆志 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40301543)
田村 学 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (80453174)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 前頭葉 / 知能 / 認知課題 / 脳損傷 / 脳ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日常的な問題の解決に関わる知能(実用性知能)の脳・認知メカニズムの解明を行うことである。実用性知能は、通常の知能検査で測られる知能とは異なる側面を反映すると考えられてきているが、その脳内機序や心理学的なメカニズムは全く明らかになっていない。そこで、脳腫瘍摘出術前後の患者の協力を得て、日常的問題の解決に関わる脳のネットワークを明らかにする。また、ワーキングメモリや実行機能など、関連する認知機能と日常的問題解決の成績の関係を明らかにすることで、日常的問題の解決にかかわる認知メカニズムのモデル化を目指す。 本年度は、Open-endedで非構造的課題の作成を行った。試行錯誤を行い、最終的に2つの課題のプロトタイプを作成した。一つは、5つのキーをできるだけランダム順に押すことを求める、ランダム反応生成課題である。各キー押しの回数、1次と2次のキーの遷移から、ランダム性を評価する方法を確立した。第2の課題は、従来のdesign fluency課題を、改変し、絵が苦手な患者であっても、容易にできるように、言語的な要素を加えたものである。 また、前頭葉を損傷した患者が日常生活場面で示す課題解決の困難さを患者個人、看護者や家族が評価するための質問紙を作成するために、日頃、患者と接している医師、看護師、心理士からのヒアリングを行った。その内容を、整理し、30問からなる質問紙のプロトタイプを作成した。 さらに、患者の一般知能を評価するために7種類の課題からる認知機能課題を作成し、25名の患者に実施した。その結果に階層的因子分析を行い、知能の一般因子(g因子)が抽出できることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ、当初の予定通り、Open-endedで非構造的課題の作成と、一般被験者を対象とした予備実験を行い、また、その結果を評価するための手法を確立した。また、日常の問題解決に関する困難場面について質問紙のプロトタイプを作成した。さらに、患者の認知機能や一般性知能を計測するための方法を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度作成した、Open-endedで非構造的課題、日常の問題解決に関する困難場面について質問紙、認知課題を、実際の患者(50名程度)に実施し、知能検査の成績が高く日常的問題解決課題の成績が低い患者とその逆の知能検査の成績が低く日常的問題解決課題の成績が高い患者が存在することを示すことによって、両者が互いに独立であることを立証する。また、術前、および術後の脳解剖画像から損傷脳部位を特定し、日常的問題解決課題の成績の低下に寄与する脳部位を特定する。これらを通じて、日常的な問題解決に関わる脳の部位やネットワークの解明を目指す。
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Causes of Carryover |
予備実験が年度末になり、外部の一般被験者が予定通りに集まらなかったために、その分の実験者謝金、ならびに被験者謝金に残額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、早々に、昨年度実施できなかった分の被験者実験を併せて行う。
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