2015 Fiscal Year Research-status Report
感情的プロソディを変更した音声のフィードバックによる気分誘導方法の研究
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26540068
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
大島 千佳 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), その他 (10395147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 功一 佐賀大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50418498)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 周波数と音量の検出 / リアルタイムな変換 / 悲しい気分 |
Outline of Annual Research Achievements |
認知症患者の気分を適切に誘導し,認知症の行動・心理症状(BPSD)を緩和する方法として,患者の会話中の声に含まれる「感情的プロソディ」をリアルタイムに変更して患者自身にフィードバックすることを目指している.本年度は,発話中の音声から音高を推定し変換するとともに,音量を検知するシステムを開発した. 実装したシステムは,マイク,オーディオインタフェース,ヘッドフォン,PCからなる.マイクに入力された音声は,オーディオインタフェースを介してPCに送られる.PC内のプログラムは,送られてきた音声のF0(基音)の周波数(ピッチ,音高)と音量を検出し,記録する.記録されたF0の周波数と音量の履歴に基づいて,現在の入力音声の周波数と音高を変更する.変更の方法は,目的とする感情により異なる.変更された音声は,オーディオインタフェースを介してヘッドフォンから声を発している本人に提示する.発した音声が,変換されて本人に提示されるまでに要する時間(遅延,レイテンシ)は,約50ミリ秒である. 第一段階として,悲しい気分へ誘導するための変換方法を検証した.その結果,音声の周波数を,125ミリ秒の周期で,元の音声の周波数の90%にあたる周波数を中心に,プラス・マイナス10%の範囲で増減させる方法が適切であると考えられた. 健常者の学生に試してもらった.その結果,悲しい気分や情けない気分になるという主観評価が得られた.それとともに,話す調子が変わっていく様子が観測された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リアルタイムに変換するシステムを予定通り構築することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
システムを使って認知症者の発話をリアルタイムに変換し,提示するには,ヘッドフォンではなく,スピーカで提示しなくてはならない.過去の研究では,対象者にあまり聞こえていない可能性があった.雑音がある空間で,発話をする対象者に変換した音を届ける方法を考えなければならない.
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