2016 Fiscal Year Annual Research Report
The origin of social cognitive ability in vertebrates: From facial recognition, mirror self-recognition and tactical deception
Project/Area Number |
26540070
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
幸田 正典 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70192052)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 自己鏡像認知 / 顔認知 / 顔神経 / 社会性 / 顔認識の倒立効果 / 比較認知科学 / 共同注視 / 意図的騙し |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題研究では、魚類における顔認知研究、鏡像認知研究、そして意図的騙しの研究を3年間にわたり実施してきた。鏡像認知研究では、研究個体数を9個体まで増やし、そのうちのべ6個体でマークテストに合格したことが確認された。さらに、自己指向的行動の動画撮影なども増やすことに成功した。現在投稿準備もほぼ完了している状況である。 顔認知に関しては大きな展開が見られた。最も大きな仮説である、「顔の倒立効果」に関し、モデル提示実験から、既知の顔に関してのみ倒立効果が認められ、未知個体の顔やその他の物体に関しては認められなかった。このことから、対象魚種のプルチャーでは顔の倒立効果の存在が実証されたと言える。さらに類人猿などで知られる、まず顔を見ることについても本種でも確認できた。やはり、モデル提示実験により、まず最初に見るのが相手個体の顔(頭部)であること、おそらくこれにより、素早い相手個体の識別が可能になていると思われる。また、この顔に注目することが生得的行動であると考えられ、ヒトも含めた顔認識過程の脊椎動物全般での共通性の議論が展開できる余地が生まれてきた。また、類人猿で知られる、顔の中でも相手の眼を見ていることについても、研究が進みつつある。プルチャーは相手の眼の動きを認知し、相手がどこを見ているのかを把握している共同注視の可能性があることがわかってきた。このことに対応し、魚類の眼の黒い瞳の周囲に金色の虹彩があり、この黒黄色の対比が目立つこと、これにより相手の眼の動きを把握しやすい可能性なども考えられ、これがヒトの場合の白目黒目に対応している可能性が考えられた。系統間比較をしたところ、珊瑚礁魚や熱帯湖のカワスズメなど定住性が高くかつ社会性の発達した種類でこの眼の「黄金リング」が発達していることも示唆された。今後の展開が大いに期待できる成果である。
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Research Products
(9 results)