2015 Fiscal Year Research-status Report
高感度、低コストにマルチスペクトル画像を計測する新原理の開発
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26540080
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
熊澤 逸夫 東京工業大学, 像情報工学研究所, 教授 (70186469)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マルチスペクトル画像センサ / 分光 / クロストーク / 逆問題 / リモートセンシング / 不良設定問題 / プリズム / 回折格子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、従来のマルチスペクトセンサの光利用効率を低下させる原因となっていたスリットやフィルタを排除した新しいマルチスペクトル計測の光学系とセンサ原理を開発し、その効果をシミュレーションと実際のハードウェアの試作を通じて検証してきた。スリットやフィルタを排除すると、近隣画素間の情報や波長バンド間の情報のクロストークが避けられず、各画素の受光量は近隣画素や異なるバンドの光量が混じり合ったものになるが、昨年度(26年度)は理想的な光学系に対する計算機実験を通じて、こうしたクロストークを計測後の数値的な信号処理により排除できることを検証してきた。当年度(27年度)には、提案している計測原理をハードウェアとして実現して、計算機内の理想光学系では想定していなかった光の散乱や回折、ボケなどの光学系の誤差が生じる実際の状況で提案原理が想定通りに通用してマルチスペクトル画像を計測できるか、どの程度の空間分解能と波長分解能が得られるのか、検証してきた。こうした数値的シミュレーションと試作ハードウェアを用いた検証を通じて、様々な想定外の問題が浮かび上がり、特に計測のための光学系の構成を根本的に見直すことになった。まず物理的に混入(クロストーク)が生じている計測情報から、クロストークを排除する数値的処理は一種の逆演算となるが、逆演算が優良設定問題となって、混入が数値的な処理で分離しやすくなるように光学系の形態を工夫する必要がある。計算機内のシミュレーション上は当初設定した光学系で逆が求まることが検証できたが、実際にハードウェアを構成して検証したところ、想定しなかった誤差や混入が生じていることが判明し、そうした要因のために逆の計算がこのままでは困難であることが明らかになった。そこで本課題を1年延長して、こうした経験を踏まえて考案した新しい光学系を試作して逆演算を可能とすることを目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度後半から27年度の前半にかけて行った計算機による光学系のシミュレーション上では、当初設定した光学系でクロスートークによって生じた異なるバンドや位置の光の混入が数値的な信号処理で分解できることが示されたが、平成27年度後半から、その光学系を実際にハードウェアとして試作して検証したところ、光学系の誤差や光の拡散、散乱、回折等の想定しなかった要因のためにクロストークを除去する逆の計算が不良設定問題となり、このままではマルチスペクトル画像の計測が困難であることが明らかになった。そこで本課題を1年間延長して、以上の2年間の経験を踏まえて、新たに考案した光学系を試作し直してマルチスペクトル画像の計測に再度チャレンジすることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初設定した光学系では、光学系の誤差や光の拡散、散乱、回折等の想定しなかった要因によって、クロストークを除去する逆問題が不良設定問題となった。そこで分光に使用していたマイクロプリズムアレイの構成を見直し、当初案では撮像素子の上に配置していたマイクロプリズムアレイをレンズ手前に配置した上で、スリットにより周期的に光を遮ることによって、逆問題の解が上記の要因下でも求まるように改善した新しい光学系を考案して、その試作と効果の検証・評価をやり直すことにした。なおここでスリットを用いることは、当初の光の利用効率を高める方針に反するように感じられるかもしれないが、従来の一本だけのスリットを用いる方式とは異なり、周期的に多数のスリットを並べて開口面積を全面積の半分程度に向上したものとし、またスリットの代わりにマイクロレンズアレイを使用すれば、従来方式に比べて光利用効率は大きく改善されることになる。
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Causes of Carryover |
当初設定した光学系では、光学系の誤差や光の拡散、散乱、回折等の想定しなかった要因によって、クロストークを除去する逆問題が不良設定問題となり、目標としていたマルチスペクトル画像センサを実現できなかった。そこで分光に使用していたマイクロプリズムアレイの構成を見直し、当初案では撮像素子の上に配置していたマイクロプリズムアレイをレンズ手前に配置した上で、スリットにより周期的に光を遮ることによって、逆問題の解が上記の要因下でも求まるように改善した新しい光学系を考案して、その試作と効果の検証・評価をやり直すことにした。なおスリットの代わりにマイクロレンズアレイも使用して更に光利用効率を向上する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の新しく考案した光学系に基づきマルチスペクトル画像センサを試作する。また試作したマルチスペクトル画像センサの特性を実験的に評価する。こうした試作と実験に研究費の残額を使用する予定である。
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[Presentation] The Random Forest Approach for Land Cover Mapping2016
Author(s)
Panyanat Aonpong, Teerasit Kasetkasem, Preesan Rakwatin, Thitiporn Chanwimaluang, and Itsuo Kumazawa
Organizer
Proceedings of the Seventh International Conference on Information and Communication Technology for Embedded Systems(ICICTES2016)
Place of Presentation
Bangkok, Thailand
Year and Date
2016-03-20 – 2016-03-22
Int'l Joint Research
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[Presentation] SAR Multitemporal Speckle Filtering Based on Image Segmentation2015
Author(s)
P. Rattanasuwan, T. Kasetkasem, P. Rakwatin, I. Kumazawa, and T. Chanwimaluang
Organizer
The twelfth international conference on Electrical Engineering/Electrinics, Computer, Telecommunications and Information Technology (ECTI2015)
Place of Presentation
Cha-am, Thailand
Year and Date
2015-06-24 – 2015-06-27
Int'l Joint Research
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