2015 Fiscal Year Annual Research Report
力学系と離散事象系の二重化相互作用に基づく群行動のモデル化と制御
Project/Area Number |
26540084
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川嶋 宏彰 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (40346101)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 魚群制御 / 複数個体追跡 / 画像解析 / ハイブリッドシステム / 相互作用解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,少数の疑似個体を通じて魚群全体を制御・誘導するための原理を明らかにすることである.魚群の各個体が,周囲の個体や環境の状況に応じて自身の行動を決定する行動則をモデル化しておけば,群れ全体はその相互結合系として記述することができる.疑似個体を通じて群れを誘導するための制御則を設計するためには,いかに実際の魚群のふるまいを,結合系の数理モデルとしてうまく構築できるかが重要となる.しかしながら,従来の魚群のモデルでは,各個体のふるまいはあらかじめ設定した半径内の近傍個体によって決まるといったように様々な単純化がされており,実際の魚群のふるまいを十分予測できるものではなかった.そこで本研究では,魚群制御・誘導における基礎技術として,実際の魚群の計測データから,魚群のネットワーク内における個体レベルでの影響伝搬過程を記述できる精緻なモデルの構築を目指した.
具体的には,各個体が周辺のどの個体を基準に自己の行動を決定するかを,単純な近傍半径ではなく明示的な離散状態変数として持つような,微分方程式系と離散事象系の二重化されたハイブリッドシステムとしての群行動モデルの構築を行った.まず,(1)小型水槽内の撮影映像から複数魚個体を追跡する手法の開発と,(2)映像刺激提示による魚群の反応計測手法の開発を平成26年度に進め,27年度(最終年度)は,(3)軌跡データからの魚群ネットワークのトポロジ推定に関する研究を実施した.(3)では,各個体の行動則が自律的行動と他律的行動の項を持つようにモデル化し,さらに他律項は,近傍個体の部分集合から影響を受けるとしたうえで,それぞれの影響度を軌跡データから推定する手法を考案した.映像刺激により誘発した逃避性群行動を提案手法を用いて解析することで,群泳状態の変化過程を個体間の影響伝搬として解析できることを確認し,現在対外発表の準備を進めている.
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