2014 Fiscal Year Research-status Report
ディジタルホログラフィーによる3次元音場のリアルタイム可視化技術
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26540086
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
的場 修 神戸大学, システム情報学研究科, 教授 (20282593)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光音声録音装置 / ディジタルホログラフィー / 音声記録 / 三次元記録・再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ディジタルホログラフィーによる音場の3次元計測が可能であることを実証するために実験系を構築し、原理検証実験を行った。音声データの再現が可能であることを実証するために、マイクを用いた信号データとの整合性を調べ、提案手法の有効性を検証した。以下に成果の詳細を説明する。 音場3次元計測のためのディジタルホログラフィー計測システムの構築では、オフアクシス型の干渉計であるマッハ・ツェンダー型干渉計を構築し、片側の光路中に発話することで音声情報の干渉計測を行った。光源に波長532nmのNd:YVO4レーザー第2高調波を用いた。物体光の光路中に音叉または発話により3次元音場が生じる。この音場による空気の疎密波は物体光の位相変化を引き起こす。この位相変化を参照光と干渉させて、干渉強度分布をイメージセンサで記録する。記録された干渉画像をイメージセンサの位置から光逆伝搬計算を行うことで、音叉または発話により乱された領域の位相分布が再構成され、音場分布を可視化することができる。実験では、512x512画素、2000フレーム毎秒のイメージセンサを用い、440 Hzの音叉と人が発する母音の音声記録と再現を行った。その結果、音叉では440.4 Hzの音声データを再現することに成功した。また、人の音声データでは、周波数領域での音の特徴を表す第1、第2フォルマントに関してマイクロフォンとディジタルホログラフィー再生で良い一致を得た。これらの研究成果は、アメリカ光学会の論文誌Optics Lettersに掲載され、2014年11月の月間ダウンロードランキングで4位となった。また、Nature PhotonicsにHighlightsとして取り上げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本申請研究では、2000フレーム毎秒(2kHz)の高速イメージセンサで音の疎密波を位相変化として取得し、3次元分布再生により人の発する3次元音場をリアルタイムで表示する技術を開発することを目的としている。計測する音場の広さとして、ヒューマノイドロボットの発音機構の設計などで必要な数cmオーダーのスケールから音楽ホールなどの数十mオーダーのスケールまでの音場分布を正確に計測する技術の基礎を確立することが最終的な目標である。平成26年度の実績では、ディジタルホログラフィーを用いた位相計測により音声データの再現に成功し、母音の音素認識に向けて周波数空間の特徴であるフォルマント情報を得ることに成功した。また、リアルタイム表示に向けてもGPUを用いて1秒間隔で位相分布を再現するシステムを構築した。しかしながら、音場データの大きさとして8mm角と狭い領域が計測されたのみであるため、おおむね順調に進んでいるとした。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標としては、ヒューマノイドロボットの発音機構の設計などで必要な数cmオーダーのスケールから音楽ホールなどの数十mオーダーのスケールまでの音場分布を正確に計測する技術の基礎を確立することである。そのため、縮小結像光学系を導入し、はじめに3-5cm角程度の領域の音場計測と再現ができることを確認する。次に音の進行方向を可視化するためのオプティカルフローをリアルタイムイメージすることや、壁での音の反射の様子を可視化する実験を行い、本手法の有用性を検証する。また、シミュレータを構築し、実験結果との比較や音場3次元計測に向けた計測装置のアレイ化に対する指針を得る。
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Research Products
(7 results)