2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26540095
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
嵯峨 智 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10451535)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 触覚ディスプレイ / 熱放射 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は手による創造性を実現するインタラクションの一形態として,熱放射を利用して空中に形状を提示する手法を提案し,実機の設計を行った.熱放射および可動鏡を利用することで,高速な応答性,簡便な機構,強い感覚量の提示を実現することを示した. そして,人に対象の形状情報を伝える手法として,熱放射を利用する手法を提案した.侵害性の刺激を忌避するヒトの特性とあわせて利用することで,高速な応答性をもつ空間知覚を実現した.このとき,熱放射の明滅や位置制御のため,可動鏡を利用した. 熱放射による温度変化実験として,距離に応じた温度上昇の度合いを計測した実験から,ハロゲンヒータと空間操作型インタフェースが用いる光源の干渉についても確認し,考えられる手形状計測手法について比較検討を行い,熱画像センサと可動式超音波センサを用いた制御手法について設計,実装した. 作成したシステムを用い,熱放射による45℃付近での感覚変化についてアンケートによる実験を実施した.システムの精度の低さのため,形状認識については高い評価は得られなかった.しかし,「やわらかい」や「円柱でおしあげられるよう」など興味深いコメントを確認できた.今後は,精度をあげたシステムにより,熱放射での心理物理実験による評価実験を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の実施計画においては,ジンバルミラーによる既存システムの高速化のためガルバノミラーを実装すること,光学系を再設計するためのシミュレータを制作することを目標とした. 研究の途上で現在の集光ミラーでは集光効率が悪いことが判明したため,集光ミラーの設計のため,光学系のシミュレータ制作を前倒しし,集光ミラーを設計することを優先した.これにともない,ボールネジ機構による集光ミラーと,ジンバルミラーによる2つの可動鏡を備えた新システムを実装できた. また,計画では27年度に実施予定であった基礎的な心理物理実験を前倒しして実施したことで,熱による触覚のような感覚生起の可能性を発見することができた.以上のことから実施計画とは順番が入れ替わったものの,研究の進展としてはおおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の結果から高い評価が得られなかった形状認識について,サーモグラフィによる空間温度管理の精度をあげたシステムによる心理物理実験の追試を実施する.これにより,設計どおりに熱提示が実現したときの形状認識についての知見を得る. また,平成26年度の計画にあったガルバノミラーによる高速制御システムの設計について検討するとともに,高速制御により熱放射をPWM的に制御できるかについて検証し,作成したシステムの形状提示能力について定量的に評価する.
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Causes of Carryover |
本年度の計画で購入予定であったガルバノミラーについて,光学設計シミュレータを先行開発することに変更したため,次年度に購入することとした.これは,研究の進展を鑑み次年度購入とすることで,より効率的な研究開発が実施可能であると判断したためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては,先行開発されたシミュレータにより光学設計をつめたうえでガルバノミラーを購入し,これに基づきより精度の高い熱放射システムを実装することとする.制作されたシステムを用いることで,熱放射を正確に制御できた場合の熱放射による生起感覚の定量的評価を実施する予定である.
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Research Products
(6 results)