2014 Fiscal Year Research-status Report
生き物のように反応する自律的健康増幅デザインシステムの創出
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26540098
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河口 洋一郎 東京大学, 大学院情報学環, 教授 (50241807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩澤 駿 東京大学, 大学院情報学環, 助教 (30733480)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 映像空間システム / 自律的健康管理 / 生命現象の自己組織化数理モデル / 生物の構造色の光学シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、体感型インタラクティブデザインの持つ、情感的に反応する映像表現が体験者の参加の意欲を喚起する、という特長を生かし、体験者の身体情報の計測データを投影して情感的に反応するCGを提示することで、体験者へ健康状態の計測と身体運動へのモチベーションを与え、健康バロメータと健康増進の2つの目的を果たすような、映像空間システムの開発を行うもので、1)総合的生体センシングと推定された健康状態のモデルへの投影、2)生物の持つ複雑なミクロ表面構造に起因する構造色のシミュレーション技術の開発、3)高速かつ大規模なモデル計算およびレンダリング手法の構築、を実施した。平成26年度の研究実績の概要は次の通りである。 1)心拍センサおよび姿勢センサから得られた情報を、生命現象の数理モデルにパラメータとして入力することで、体験者の身体情報を生物的印象を持つCGにリアルタイムに投影する映像空間システムのプロトタイプを開発し、展示実験を行った。 2)生物の持つ複雑なミクロ表面構造に起因する構造色の代表的なものの一つとして、ウリクラゲの櫛板列にみられる虹色を取り上げ、そのフォトニック結晶構造に基づく光学モデルから反射色のシミュレーションを行った。さらに遊泳に伴い虹色のパターンが流れるような見えについてもシミュレーションを行い、モデルに実装した。 3)生命現象に基づく自己組織化数理モデルの代表的なものの一つとしてグロースモデルを取り上げ、その等値曲面によるジオメトリの、GPGPUに代表されるSIMD演算を用いたリアルタイムレンダリング手法を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで、生体センシングによって得られた身体情報を投影した生命現象の数理モデルに基づく映像空間システムのプロトタイプが完成している。今後は、最適な身体情報の取得と健康状態の推定技術、体験者の健康状態の最適な可視化手法の検討、展示実験とフィードバックによる改良など、手法のブラッシュアップに取り組む段階に入る予定であり、目標の実現に確実に近付きつつあると評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
概要に示す目的を実現するために、今後は1)最適な身体情報の取得と健康状態の推定技術の開発、2)体験者の健康状態の最適な可視化手法の検討、3)自己組織的ロボティックデバイスと映像空間との協調表現の検討、4)展示実験とフィードバックによる改良に取り組む予定である。特に、4)については、生命現象の数理モデルに基づくCGを生成するための、どの要素にどの身体情報を対応させるのかについて、複数の条件を比較した体験者の印象調査を実施し、その結果を考慮することで、健康状態を示唆する多くの情報を最適に表現する手法を構築する。
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Causes of Carryover |
当該年度において予定以上の成果発表の機会を得たため、発表・展示実験用機材の運搬費、学会参加費、および発表者旅費が予定額を超過した。そのため前倒し支払い請求を行ったが、その後の研究において、特段の大きな支出を控えることができたため、所要額が実支出額を下回ることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、前項の研究計画に示す通り研究を進める。また、研究の評価、取りまとめを引き続き行う。
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