2016 Fiscal Year Research-status Report
生き物のように反応する自律的健康増幅デザインシステムの創出
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26540098
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河口 洋一郎 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (50241807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩澤 駿 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 助教 (30733480)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自律的健康増幅デザインシステム / 生命・自然現象の数理モデルに基づくCG表現 / 自己組織化モデル / シミュレーションCG / インタラクティブCG / メディアアート |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究により、システムの基本設計とプロトタイプの開発を完了している。 当該年度においては、体験者の身体情報をセンサで捉え、生命・自然現象のシミュレーションモデルの造形を操作するパラメータとして入力することで生物らしい自己組織形状を生成する手法について、複数のモデルの検討・実装・評価を行った。 具体的には、グロースモデル(巻貝や植物のつるの形態に基づく自己組織形状モデル)、反応拡散モデル(BZ反応など)、粒子法による流体シミュレーションなどを用いた複数のコンピュータグラフィクス表現のパターンを開発し、体験者の位置、シルエット、動きへの情感的反応を考案した。 センサへの入力については、新たなセンサを増やすことなく、体験者の身体に加えて所有する器具の位置をセンシングする方法を開発した。具体的には、器具に再帰性反射を貼り付け、センサーから照射される赤外線を赤外カメラでキャプチャした際の輝度分布から、器具の3次元位置を測定する方法を用いた。 これらのモデル・提案手法を用いたシステムは、東京大学五月祭(5月)、新宿クリエイターズフェスタ(9月 共にシンセサイザープログラマー松武英樹氏および尾上流日本舞踊尾上墨雪氏とのコラボレーション)、ミュージックタウン音市場(2017年2月 松武氏、ミュージシャン小室哲也氏および沖縄舞踊とのコラボレーション)等のイベントにおいて上演実験を行い、体験者の身体情報に合わせ情感的に反応するCG表現が、体験者のさらなる身体運動の動機付けとなるばかりか、鑑賞者の興味を引き、体験を誘因することに有効であることが確かめられた。 当該年度では前年度までに購入した機材・資材を用いて開発を行ったため、研究費は使っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までの研究により、システムの基本設計とプロトタイプの開発を完了している。 当該年度においては、体験者の身体情報をセンサで捉え、生命・自然現象のシミュレーションモデルの造形を操作するパラメータとして入力することで生物らしい自己組織形状を生成する手法について、複数のモデルの検討・実装・評価を行った。 それらのモデルは設計・実装を行っただけにとどまらず、複数のイベントにおいて上演実験を行い、体験者の身体情報に合わせ生き物のように反応するCG表現が、体験者のさらなる身体運動の動機付けとなるばかりか、鑑賞者の興味を引き、体験を誘因することに有効であることが確かめられた。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までにシステムの設計とプロトタイプの開発は完了している。 当該年度はシステムの重要な設計要素であるコンピュータグラフィックス表現について、重点的に研究開発を行い、内容を高めた。 最終年度である今後は、これらの成果をまとめ、これまでに得られた知見・フィードバックに基づき最終的なデザインシステムを設計・開発する。成果はSIGGRAPH・ASIAGRAPH等国内外の学会・大会において発表するほか、アートイベントや展覧会等においても広く発信を行う予定である。
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Causes of Carryover |
前年度においてシステムの提案とプロトタイプの開発は完了し、当該年度では主に体験者の身体情報に反応するコンピュータグラフィクス表現について、複数の生命・自然現象のモデルの検討、実装、上演実験を行った。これらは前年度購入した開発機材、資材を用いて実現可能であったため、使用額を抑えることができた。さらに研究内容を高めるために期間の延長を行い、次年度においては研究成果のまとめと発表・発信に重点的に取り組む。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、当該年度までに得られたフィードバック・知見をまとめ、手法の結晶化を行う。さらに、成果をSIGGRAPH・ASIAGRAPHをはじめとする国内外の学会・大会において発表し、また、アートイベント等での展示発表で公衆にも広く発信してゆく。助成金は主に上記計画における研究材料費、発表のための出張費、展示発表のための制作費に充てる。
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