2014 Fiscal Year Research-status Report
ファシリテーション支援エージェントに基づく合意形成支援システムの実現と応用
Project/Area Number |
26540115
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 孝行 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50333555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
秀島 栄三 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50243069)
伊藤 孝紀 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50452214)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マルチエージェントシステム / 合意形成 / 意見集約 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究方法】本プロジェクトでは,研究項目を以下の3つに分け,進めていく.研究項目1:ファシリテータ支援エージェントの開発とシステムの設計・開発:大規模合意形成・意見集約の支援の理論開発とシステム設計開発を行う.研究項目2:小規模実験と検証:小規模実験によるシステムと方法論の領域別・機能別の有効性の検証を行う.研究項目1で開発された支援システムの機能別のコンポーネントおよび方法論を領域を区切って検証する.研究室単位や大学内での小規模な実験を想定している.研究項目3:社会実験と検証:市民を対象とした大規模合意形成・意見集約の社会実験による有効性の検証を行う.協力をお願いしている団体を共同で,市民をベースにした意見集約・合意形成の社会実験を行う.基本的には,上であげた研究項目1,研究項目2,および研究項目3を繰り返すことで,あるべき支援システムと方法論を体系化することを目指す. 《26年度》研究項目1と研究項目2は,アジャイルな研究開発スタイルで行った.すなわち,研究項目1でファシリテータ支援エージェントとシステムの設計と開発を行いながら,研究項目2の小規模実験(研究室レベルでの実験)を繰り返し行い,システムや方法論が動作することを確認した.研究項目1と研究項目2を半年程度行った結果としての方法論とシステムを用いて,研究項目3の実証実験を行った.実証実験を行うことができるシステムと方法論が開発を完了することをマイルストーンの1つとする.本質的な研究成果ではないが,本マイルストーンを乗り越えることで実証実験が実現できる可能性が非常に高まるので,マイルストーンとして目指すことで,研究全体を促進させた.実証実験には,準備期間として2,3ヶ月を見積もっており,1ヶ月程度の実験を行った,2週間~1ヶ月程度で実験評価を終えた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1年目の平成26年度は,これまで行なってきた社会実験により,Web上の大規模議論について明らかになった課題の2つについて改善を行うことができた.1点目は,集約に向けて参加者の活動が消極的になる点である.2点目は,大規模化による閲覧コストの増大である.本研究では,議論ツリーを用いたポイント付与機構を導入することで,上記の課題2点の改善を目指した.1点目の参加者の活動が消極的になってしまう課題について,ポイント機構により参加者へのインセンティブを与えることで,活動の活発化をした.2点目の閲覧コストの課題について,ポイント算出による重要投稿および参加者の抽出により,議論重要点の把握を支援した. ポイント付与を用いたポイント議論インセンティブ機構による参加者の活動活性化の評価のため,研究室内学生による機能評価実験を行なった.まず小規模実験では,研究室内学生20名を参加者とした.実験結果におけるポイント付与機能および獲得ポイントランキング機能への評価で参加者の多くがポイント付与やランキングにより議論への参加意欲が高まったことがわかった.ポイント機能ありのグループが,ポイント機能なしのグループより投稿および賛同を活発に行なっており,ポイント機能が議論参加を促していることを確認した.また,アンケートの結果から,ポイント機能および獲得ランキング機能が議論参加のインセンティブとなることが明らかとなった.各ポイント数の設定について,参加者の活動は評価されやすいものの,他の参加者からの評価,主に賛同されたポイントの影響が小さいことが分かった. 上記の本機能を用いた研究室内小規模実験と,愛知県の協力で県内の各市町村のまちづくりに関連する部署の職員らによる大規模議論実験「愛知デザインリーグ」を行った.ここでは,73名の参加者から355件の投稿を得た.アンケート結果として,本システムの有用性が確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,ファシリテーター支援エージェント実現に向けて,議論を活性化するためのポイント付与機能を構築することで、前年度におこなった名古屋市との実験において得られたファシリテータからのサイレント・マジョリティの意見を吸い上げたいという課題に答えた.今後は、ファシリテータ支援機能としての自動ファシリテーション機能の高度化がある.前年度に行った名古屋市との実験において,ファシリテーションテンプレートの導入、キーワードクラウドの導入,論点タグの導入,センチメントアナライシスに基づく議論の傾向の表示機能の導入などを行った.来年度は,具体的なファシリテータのフレーズを詳細に分析することで、自動的にファシリテーションワードを投稿する機能や,すでに課題となっていた,ファシリテーショングラフィックの充実などを行う.これらによって,総合的にファシリテータを支援するエージェント機能が実現可能である。
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Causes of Carryover |
人件費や謝金の使用が想定したほどではなかったため次年度使用額が発生した.ただし、次年度に人件費や謝金の使用を予定しているので問題はない.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人件費や謝金の使用が想定したほどではなかったため次年度使用額が発生した.ただし、次年度に人件費や謝金の使用を予定しているので問題はない.
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Research Products
(10 results)