2014 Fiscal Year Research-status Report
論理プログラム表現に基づくセルオートマトン遷移規則学習
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26540122
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Research Institution | National Institute of Informatics |
Principal Investigator |
井上 克巳 国立情報学研究所, 情報学プリンシプル研究系, 教授 (10252321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂間 千秋 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20273873)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 機械学習 / セルオートマトン / ブーリアンネットワーク / 状態遷移 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ブーリアンネットワークやセルオートマトンなど、時間的に変化する離散系を標準論理プログラムで記述し、その上での帰納推論方式を新たに考案し、状態遷移規則を学習するための画期的な方法論を提案する。これまでに (Inoue et al., 2014) において、状態間の変位から状態遷移規則を自動的に学習する LFIT (Learning from Interpretation Transition) を提案している。
平成26年度は、状態変化列の時系列的入力から生成される膨大な数の遷移規則を効率よく簡約化するために BDD を用いて効率化したLFITアルゴリズムを開発した。また、遅延効果をもつ状態遷移規則の学習方式を設計し、遅延効果をもつブーリアンネットワーク学習に応用した。従来のLFITでは,各コンポーネントの制御(活性化または抑制)が直ちに次の時刻で効果を表すこと(マルコフ性)を仮定していたが、拡張版では各制御はある時間経過後に効果が表れるという現実的な状況に対応し、記憶、すなわち直前だけでなく過去の状態遷移列,が遷移に影響するようなk次マルコフ性をもつ状態遷移を表現するように拡張した。さらに、非同期更新による状態遷移規則の学習に関する考察も行った。
また発展研究に向けて、LFIT による論理発見の研究にも着手した。深層学習等を用いた大量データの解析から獲得される概念を使って問題解決を行う場合、概念間の関係や一般規則、及び規則を使って推論を行うための論理が必要になる。そこで、コンピュータが論理を自動的に学習する「論理発見」の可能性の検討が始まっている。本研究ではその足掛かりとして、命題集合 S とその論理的帰結の集合 T を入力として与えた場合に、S から T を演繹的に導く推論規則をLFITを使って構成するものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
具体的目標として挙げていた4つの研究課題のうち、(1) 系の状態の時系列変化を観測として状態遷移規則を標準論理プログラムの形式で学習する LFIT アルゴリズムに対する同期的・非同期更新の下での学習方式についての考察、および (2) 論理関数のコンパクトな圧縮表現形式である二分決定グラフ(BDD)を用いた帰納推論の効率性追求に関しては研究が予定通りに進んだ。さらに、当初予定していなかった遅延付きの状態遷移規則の学習方式の実現とその遺伝子制御ネットワーク構築への応用や、論理発見への新たな発展など計画以上の進展もある。その反面、当初課題に挙げていたセルオートマトンの密度分類問題への適用については、予想以上に計算量が高く計算が困難であることが判明している。 平成26年度の研究成果は、計11件の学会誌論文・国際会議論文および発表により公表した.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画で課題として挙げていた他の2課題である、(3) 系が満たすべき目標が与えられた時にセルオートマトンを適切に設計する手法の開発、(4) 遺伝子制御を表すブーリアンネットワーク構築問題他への応用についてさらに研究を進める。また新たな挑戦的課題として挙がってきた論理発見についても考察を進める。
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Causes of Carryover |
26年度の当初計画では坂間千秋教授分担金として、研究打ち合わせのための東京出張2回程度を見込んでいたが、昨年9月にフランスで開催された国際会議に参加した際に、同席した代表研究者である井上と国立情報学研究所Tony Ribeiro 氏と打ち合わせを行う機会があった。また、昨年12月に井上と Ribeiro 氏が和歌山大学を訪問した。、 これらのことから NII を訪問する必要がなくなったため、東京出張2回分相当の旅費と宿泊費が未使用金額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究の成果発表のため7月にドイツのベルリンに出張することが確定しており、また研究最終年度になり打ち合わせを密に行っていく予定なので、未使用分は坂間千秋教授が旅費として使用する。
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Research Products
(11 results)