2015 Fiscal Year Research-status Report
進化型多数目的最適化における解集合評価の体系化へ向けた評価指標の批判的考察
Project/Area Number |
26540128
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
石渕 久生 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60193356)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 進化計算 / 多目的最適化 / 多数目的最適化 / 非劣解集合 / 解集合評価 / 性能評価尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
進化型多数目的最適化アルゴリズムの性能評価結果と個体群サイズとの関係を調査し,アルゴリズムの性能評価結果が個体群サイズの設定に大きく影響されることを明らかにした.例えば,多目的最適化アルゴリズムMOEA/Dの多数目的ナップサック問題に対する性能評価を様々なスカラー化関数を用いて調査した場合,個体群サイズが100程度ではチェビシェフ関数の性能が最も悪いが,個体群サイズを5000程度に設定した場合ではチェビシェフ関数の性能が最も良いという結果が得られた.性能評価結果の個体群サイズへの依存という問題点を解決するために,様々な個体群サイズを用いて得られた解集合から全く同じ数の解を選択して評価するという性能評価の方法の提案も行った.このような研究成果を国際会議IEEE CEC 2015で発表した.また,進化型多数目的最適化アルゴリズムの評価指標として用いられることの多いIGDに対して提案した修正指標であるIGD+の性能評価能力を調査し,国際会議GECCO 2015で発表した.この発表は大きな注目を集め,進化型多目的最適化アルゴリズムに関するプログラムやテスト問題,性能評価指標などが整備されているjMetalと呼ばれる有名なスペインのWebsiteで公開されている.さらに,性能評価指標の調査に用いたテスト問題に関して,パレートフロントの形状に関する新しい結果が得られたので,IEEE Transactions on Evolutionary Computation誌に投稿し,掲載決定となった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画調書では,平成27年度以降の研究課題として,以下の2点を挙げていた. (1)テスト問題を用いた数値実験および理論的考察により,解集合評価指標の妥当性を批判的に検討する. (2)また,個々の評価指標の提案者または推奨者と評価指標の妥当性の議論を行うことで,批判的検討の客観性を高めると共に,新しい評価指標の提案を試みる. 上記(1)に関しては,解集合評価指標として用いられることの多いHypervolumeとIGDの問題点を明確にした.同時にテスト問題に対する考察を行うことで,縮退したパレートフロントを持つ多数目的テスト問題であるWFG3が実は縮退していないパレートフロントを持つことを明らかにし,進化計算分野で国際的に最も権威あるIEEE Transactions on Evolutionary Computation誌に投稿し,投稿から半年で掲載決定となった.上記(2)に関しては,IGDの改良版であるIGD+に関して国際会議で研究発表を行うと共に,オーストラリアUNSW大学のT.Ray教授や米国ミシガン州立大学のK.Deb教授の研究室などを訪問し,議論を行った.また,個体群サイズの影響という新しい着眼点から研究を進め,国際的に大きな注目を集めている.新しいテスト問題の開発に関しても,成果発表が行える段階まで進んでいる.
|
Strategy for Future Research Activity |
多数目的最適化アルゴリズムで獲得された解集合の評価指標として用いられることの多いHypervolumeおよびIGDの問題点を明らかにし,IGD+という新しい性能評価指標の提案を行うこともできたので,次の研究課題は,多数目的最適化アルゴリズムの性能を評価するために適した新しいテスト問題の提案である.現在,進化型多数目的最適化アルゴリズムの性能評価に用いられることの多いDTLZやWFGなどのテスト問題の特徴に関する調査を進めており,今後は,調査結果の報告や調査結果により明らかにされた問題点を踏まえた新しいテスト問題の開発,新しいテスト問題を用いたアルゴリズムの評価などを行う予定である.
|
Causes of Carryover |
研究成果の発表を行う予定である国際会議IEEE WCCI 2016 (バンクーバーで2016年7月24日から29日に開催)の参加登録費695ドルの支払を平成27年度末に行う予定であったが,予定よりも参加費の支払期限が延長されたので平成28年4月に支払うことになった.このため,参加登録費に相当する額が次年度使用額として生じた.この次年度使用額は,そのまま参加登録費として使用するので,それ以外の使用計画には変更はない.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は,平成27年度末に支払予定であった国際会議WCCI 2016の参加登録費として使用するので,それ以外の使用計画には変更はない.
|