2014 Fiscal Year Research-status Report
「察するコンピュータ」を実現するフレームワークの構築
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26540148
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
平石 広典 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60343571)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人工知能応用 / データマイニング / 機械学習 / ライフログ / 生体情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「察するコンピュータ」を実現するフレームワークを構築することである.「察するコンピュータ」の実現のためには,人間の無意識的な反応や入力の裏に隠れた意図を推測する必要があり,どのようなセンサ情報に対して,どのような要素の解析が可能かを明らかにする必要がある.本年度は実際のタスクにおいて,必要なセンサを準備し,具体的なデータ収集と解析を行った.本年度に実行したタスクと,それらから得られた実績は次の6つである. 1履歴データからの不在者予測を行った.教員の普段の行動履歴を収集し,それらのデータから教員の状況や居場所の解析を行った結果,90%以上の精度で場所や状況の予測が可能であった.2座圧センサによる着席者の状態認識を行った.椅子に取り付けられた座圧センサによって,正座状態,リラックス状態,書き作業,キーボード作業などの着席者の状態の解析を行い,100%の精度で認識可能である結果が得られた.3キネクトセンサを利用した行動認識を行った.キネクトセンサによって利用者の行動を記録し解析することで,ジェスチャーや歩行動作の認識が95%以上の精度で可能であった.4加速度センサによる歩行動作の認識を行った.携帯端末に搭載された加速度センサを利用して,歩行者の歩行動作の解析を行った結果,95%の精度で,停止,ゆっくり,早いといった歩行動作の区別が可能であった.5脳波によるロボット制御を行った.簡易型脳波センサからの脳波を解析することで,利用者の集中度の解析が可能であり,集中度に応じたロボット制御が可能であることを示した.6スポーツ時における集中度の解析を行った.簡易型脳波センサを利用してバスケットボールにおけるフリースロー時の脳波を定性的に解析し,シュート成功時には,集中度の変化が一定化するといった特徴を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は「モデル構築フェーズ」であった.これは,いくつかのセンサ装置を準備し,データを収集し,それぞれのデータの変化の特徴を解析することで,どのようなセンサデータに対して,どのような特徴が解析可能であるかといった関係性を明らかにすることである.そのためには,本年度は,実際のタスクを通じてデータを収集する必要があり,簡単なものからより複雑なものへと段階的にタスクを実行することで,その関係性を明らかにしていくといった計画であった. それに対して,本年度は6つのタスクの実行を行った.静的な履歴データ,比較的動きの少ない着席者の座圧データや利用者のジェスチャーデータ,時系列的な動きを伴う歩行時のデータや曖昧さを含む脳波データ,そして,スポーツ時における動的なデータへと,静的なものから動的なものへと段階的にタスクを実行し,それぞれタスクにおいて,非常に高い精度でセンサデータとの関係性を明らかにすることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画通りに「モデル検証フェーズ」となる.初年度に得られた,センサデータとそれぞれのタスクから得られる特徴との関係性を表現したモデルに対して,どの程度の正当性があり,また,現実の様々なデータに対して,どの程度解釈することができるのかを検証する.そして,それらの検証をもとに修正を加え,より実用的で汎用的なモデルを構築していく. ここで,現実のタスクにおける無意識的な反応と,入力の裏に隠された意図との関係を検証するために,いくつかの統計手法や学習手法の適用を試みる.具体的には,多変量解析やベイジアンネットワーク,強化学習や帰納論理プログラミング等であり,例えば,ベイジアンネットワークを利用すれば,事前・事後確率として,ある状態の前兆などを表現することが可能であり,強化学習を利用すれば,減衰的に与える報酬によって,時間遅れや間違った意図への対応も可能となる.また,帰納論理プログラミングを利用すれば,数値的ではなく,状態や意図との論理的な関係を導き出すことが可能である.
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Research Products
(8 results)