2015 Fiscal Year Research-status Report
「察するコンピュータ」を実現するフレームワークの構築
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26540148
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
平石 広典 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (60343571)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 人工知能応用 / 機械学習 / データマイニング / ライフログ / 生体情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,「察するコンピュータ」を実現するフレームワークを構築することである.「察するコンピュータ」の実現のためには,人間の無意識的な反応や入力の裏に隠れた意図を推測する必要があり,どのようなセンサ情報に対して,どのような要素の解析が可能かを明らかにする必要がある. 本年度は,昨年度に準備した様々なセンサ装置を利用し,昨年度までに実行したタスクに対して,さらなる実験や拡張を行い,その有効性の検証を行った.本年度に実行した内容と,それらから得られた実績は次の5つである. 1.昨年度に行った履歴データからの不在者予測に対して,大きなスケジュール変更が行われた場合でも対応できるように拡張を行った.2.昨年度に実施した座圧センサによる着席者の状態認識に対して,授業中やレポート作成時,携帯ゲーム利用時において,どのように座圧の変化が生じるかといった時間的な変化を検証した.その結果,利用者の疲労状態の把握を実現した.3.昨年度にキネクトセンサを利用した歩行動作の認識を行ったが,本年度は,歩行動作からそれぞれの利用者の個人識別が可能であるかどうかの実験を行った.その結果,5人の被験者において90%以上の精度で利用者個人を特定することに成功した.4.昨年度に携帯端末による加速度センサによる歩行動作の認識を行ったが,本年度は,利用者の興味の判断のために携帯端末の操作に着目した解析を行った.5.昨年度は,バスケットボールにおけるフリースロー時の脳波による集中度の定性的な解析を行ったが,本年度は,ダーツにおけるルーティーンに対しての解析を行った.ルーティーンにおいてもフリースロー同様に,集中度の変化が一定化するといった特徴を明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画は「モデル検証フェーズ」であった.初年度に得られたセンサデータとそれぞれのタスクから得られる特徴との関係性を表現したモデルに対して,どの程度の正当性があり,また,現実の様々なデータに対して,どの程度解釈することができるのかを検証する.そして,それらの検証をもとに修正を加え,より実用的で汎用的なモデルを構築していくといった計画であった.そのために,本年度は,初年度に準備した様々なセンサ装置を利用し,昨年度までに実行したタスクに対して,さらなる実験や拡張を行うことでその有効性の検証を行った. 履歴データからの不在者予測では,システムが提示した予測と実際の利用者の操作を比較するモデルに拡張することで,スケジュール変更などのより現実的な状況への対応を可能にした.座圧センサによる着席者の状態認識では,時間的な変化をモデル化し,ある一定時間が経過すると,座圧の変化が顕著に現れ,それによって利用者の疲労度を解釈することに成功した.携帯端末による利用者の興味の解析では,加速度センサによるモデルを,利用者が情報閲覧の操作がない場合に,利用者の興味がなくなったと判断するモデルに拡張を行った.さらに,バスケットボールのフリースローにおける集中度の変化が一定化するといったモデルは,実験よりダーツにおけるルーティーンに対しても拡張できることを明らかにした.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初の計画通りに,「モデル応用フェーズ」である.これまでに構築してきたモデルを,様々なタスクに応用することで,利用者の状態や意図との関連付けを行い,モデルに対して,どの程度,利用者の状態や意図を反映することができるかを明らかにする. その際,利用者の状態や意図をどのように表現するかが重要であり,それぞれのタスクにおいて,録画した映像に対するオフラインでの提示や,音声による発話,また,簡単な動作による表現といったリアルタイムな提示など,状態や意図の表現方法や提示方法についても実験的に検証する.また,状態や意図の表現による教示は,機器とのインタラクションであり,どのようにすればうまく教示できるかといった人間側の学習も期待できる.そのため,どのように人間側が機械に合わせられるかといった内容も実験的に検証する. そして,より一般的なタスクへの適用のために,実験・検証したタスクをもとに,どのような情報を利用することで,何が実現できるのかを一般化し,最終的な「察するコンピュータ」のフレームワークを構築する.
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Research Products
(8 results)