2014 Fiscal Year Research-status Report
脳の記憶メカニズムに基づいた生体分子メモリシステムの実用化
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26540154
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浦久保 秀俊 京都大学, 情報学研究科, 特任助教 (40512140)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | CaMKII / 生体分子メモリ / 再構成系 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、研究実施場所として、当初想定していた東京大学大学院・理学系研究科・生物科学専攻・黒田真也研究室が遠方であったため、京都大学大学院・医学研究科・青木一洋特定准教授に、青木研究室にて本研究課題の推進に必要な実験を行わせていただくことをお願いし、ご承諾いただいた。現在、同研究室にて実験を行っている。 平成26年度は、本研究課題以外の、研究者代表者自身を雇用している研究課題(脳科学研究戦略推進プログラム「脳プロ」)を推進することを優先させたため、本課題の進展は若干遅れた。それでも、第一に生体分子メモリ(CaMKII-FRET)の読み出しのために必要な蛍光顕微鏡の扱いに習熟し、CaMKII-FRETと同様のFRETプローブであるEpac1-campsにより観測の条件検討を行った。第二に、CaMKII-FRETの光刺激方法であるCaged-Ca2+の選定と適切なCa2+解放のための条件検討を行った。第三に、(1) AddgeneよりCaMKII-FRET(Camui-CR)のcDNAを入手し、(2) cDNAより野生型(WT)に加えてT286A, T305A, T286AT305A,3つの点変異Insertを作成し、(3) InsertをpFastBac1ベクターへ導入してバクミドを作成し、(4) バクミドをSf21細胞へTransfectionし、(5) WT, T286A, T305A, T286AT305A CaMKII-FRETのバキュロウイルス産生とタンパク発現の確認を行った。今後、各種CaMKII-FRETをSf21細胞内にて大量生産し、生産したCaMKII-FRETを精製して光刺激実験に供する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生体分子メモリの実用化を目指した本研究課題は極めて順調に進んでおり、現在のところ本質的な困難には直面していない。問題は、研究実施者が研究代表者一人のみであるため、研究の推進に必要な時間を確保することが困難なことである。それでも、本研究科課題と、異なるが相補的な関係にある「脳プロ」の研究推進と同調させることにより、効果的に本研究課題を推進させる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究の推進のための時間を確保することができる予定である。まず、WT, T286A, T305A, T286AT305Aの4つのCaMKII-FRETタンパク質の生産・精製はじめ、ガラススライド上の実装など、より積極的に課題を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
本課題の進展そのものが若干遅れていることが第一の理由である。第二の理由は、研究実施場所を当初計画より変更し、必要物品が変更になったためである。東京大学大学院・黒田研究室に比べ、京都大学大学院・青木研究室は蛍光顕微鏡の設備が充実しており、UV照射装置の購入が不要になった。一方、青木研究室において本研究課題の推進にするためには、新たにウエスタンブロット等の生化学実験のための備品・消耗品を購入する必要がある。生化学実験備品は主に次年度に必要になる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、ウエスタンブロット等の生化学実験のための備品や消耗品などを中心に、本研究課題の推進に必要な物品を購入する。
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