2014 Fiscal Year Research-status Report
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26540157
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂田 克己 前橋工科大学, 工学部, 教授 (90545419)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ネットワークトポロジー / システムバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト免疫細胞株の細胞分化過程における転写因子2,300 個から成る転写ネットワーク解析を、本研究申請段階の予備的な解析とは異なり、より実績あるネットワーク推定法に切り替えて実施した。その結果は、当該の予備的な解析で得られたのと等しく、相互に抑制しあう2つの系列から成るシステムワイドな構造が転写ネットワーク中に有り、そのシステムワイド構造が分化する細胞の状態遷移を誘導する事を示唆した。又、細胞初期化因子をシステムワイド構造中に位置づけ、同因子をシミュレイションで発現させると、ネットワークを構成するノードモジュールの多くが発現する高ポテンシャルの発現パターンが励起し、転写ネットワークの状態遷移を促進する特異的な振る舞いが示唆された。上記の結果は論文として投稿し受理された。 転写ネットワークと食物網の比較研究を進めた。そこでは、二つのネットワーク間で類似した構造があるのみならず、ネットワークの機能に関わる類似した動的な特性があることを見つけ、学会発表した。更に神経網も対象に含め、各ネットワークの数学モデルに基づいて共通の特性を探る研究を進めた。その結果からは、ネットワークの形成に関して、ネットワークを構成する実体に関わらず、時間の流れの中でネットワークを形成する共通の機構(汎ネットワーク機構)が示唆されている。本研究の成果であるネットワーク推定法及び状態遷移を含むシミュレイション法は、農作物の発現解析への応用も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本科研費研究の基幹をなす、転写ネットワークトポロジーの解析研究の論文が受理、刊行された。
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Strategy for Future Research Activity |
生物ネットワークのモデリング及びシミュレイションに研究を集中し、1年目の研究で見通しが得られた研究結果を論文あるいは研究発表の形に纏めて発表する。
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Causes of Carryover |
生物ネットワークのモデリング・シミュレイション及び論文の作成・発表に研究を集中した為、消耗品費等の物品費が予想よりも掛からなかった。博士研究員の作業を効率的に見直す事により、人件費も予想より少なくて済んだ。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
シミュレイションプログラムの開発を本研究費により外部委託して、研究を強化する。研究成果の論文投稿あるいは国際会議での発表を行う。
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