2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26540157
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
坂田 克己 前橋工科大学, 工学部, 教授 (90545419)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ネットワークトポロジー / システムバイオロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
転写ネットワーク、食物網ネットワークに共通な性質として、伝送経路の非対称性が系の安定性を強化することがある。今年度の研究では、転写ネットワーク、食物網ネットワーク及び神経網ネットワークの三種類の生命系ネットワークに関し、(1)それらのネットワークのベクトル場には類似した性質があること、(2)ヤコビ行列のトレースと行列式が作る平面上における解析が有効であり相互作用エッジの有無が系の安定性に影響を及ぼす場合があること、を明らかにした。 又、相互作用ネットワークの安定性を考察した。ここで言う安定性とは、定常状態で外乱を受けたとき、元の釣り合った定常状態に戻ろうとする性質である。ここでは、転写ネットワーク、食物網ネットワーク及び神経網ネットワークの各モデルを基礎に一般化モデルを導き、生命系ネットワークの安定性を考察した。 一般化モデルに対し、固定点が存在する条件と固定点の安定性を解析した結果:(ケース1)自己生成項がない場合は、固定点の近傍で勾配が緩やかな促進的な相互作用がある時、二つのシステム要素、xとyは安定共存できる。(ケース2)自己生成項があってもそれが固定点の近傍で勾配が緩やかな自己生成であれば、安定共存できること、促進的な相互作用に加え抑制的な相互作用でも、固定点の近傍で勾配が緩やかな相互作用であれば安定共存できることを明らかにした。更に、ケース1とケース2から、定常状態の安定性に固定点近傍の相互作用および自己生成の勾配が影響していることを示唆した。 更に、ネットワークの秩序を計算により評価する為、ネットワークモデルを微分方程式で与え、シャノンエントロピーを計算する解析プログラムを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度中に、国際会議での口頭発表あるいは海外学術誌上での論文発表一編を完了する計画であったが、口頭発表に採択されたが、その発表時期は28年7月にずれ込んでしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果を国際会議で口頭発表するのに加え、国際的な学術誌上での論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
27年度に、転写ネットワークの状態遷移を解析し、その結果を国際学会において発表する予定であったが、転写ネットワークを一般化したモデルで、生態系および神経網ネットワークを含めたベクトル場上での振る舞いを記述できる見通しが得られた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
このため、計画を変更し一般化モデルでのネットワーク安定性解析と国際学会での発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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