2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26540167
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩崎 哲行 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 学術研究員 (60643806)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 交通制御アルゴリズム / 自律分散制御 / 負荷分散 / 生命創発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、大量の交通需要に対する有効的な対策を示すために、生命創発型のアルゴリズムを交通制御に導入することで現状の道路資産で交通容量(車線が車両を処理できる能力)の最大化を行うことを目指す。また、提案した制御方法を異なる制御対象へ導入することによってその汎用性を示すことを目的としている。 本年度は生命創発型のアルゴリズムの設計、および性能評価を行った。対象とした制御は生体内代謝経路における拮抗阻害反応であり、代謝経路内の構成要素を交通ネットワークの要素へと対応させ、その制御関数を交通ネットワーク制御へと導入した。具体的には、代謝経路を構成する基質と生成物の濃度を道路交通ネットワーク内の交差点手前の車両密度、隣接交差点の車両密度と対応させ、混雑によって変化する式を定義した(混雑指標)。また、制御対象の車両の進行方向が目的地に到着するまでにどのくらいのコストを要するかという距離に対する指標も導入した(距離指標)。この混雑指標と距離指標のそれぞれに重み係数を設定し、その和を出力する評価関数を設定した。評価関数の値が大きい経路に対して車両が進行する制御をアルゴリズムとして定義し、シミュレーションネットワーク上でその性能の検証を行った。 検証の方法として、車両が最短経路で走行するものと提案アルゴリズムによって走行するそれぞれのネットワーク環境におけるDelayTime(ネットワーク上で車両が実際にかかった走行時間―理想状態で走行した場合の走行時間)/走行距離)(sec/km))を比較することで評価を行った。 その結果、提案アルゴリズムによってネットワークのDelayTimeが減少していることが確認された。また、ネットワーク全体で処理できる車両数も上昇し、構造が同じネットワーク内で最短経路で走る制御よりも提案アルゴリズムがより多くの車両を制御できることが示された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画のうち、本年度に実施予定であった、以下の二項目について実施済みである。 1、生命創発型のアルゴリズムを設計した。 2、提案したアルゴリズムをシミュレーションネットワーク上で動作させ、その性能について検証を行い提案アルゴリズムの性能の有効性を確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、提案アルゴリズムの評価を行う。提案アルゴリズムが最短経路アルゴリズムと比較してどの様にネットワーク上で影響を及ぼし、DelayTimeの向上に寄与したのかをネットワークのパラメータ(車両通行数、制御車両の経路)の変化という視点から詳細に検証を行い、得られた結果に対する考察を行う。 また、設計したアルゴリズムを他の制御方法である信号オフセットへ適用しその性能について検証し、提案アルゴリズムの汎用性を示す。
|
Causes of Carryover |
交通シミュレーションの負荷が予想以上に大きかったため、調達を予定していた計算サーバの選定に時間がかかり発注が遅れ納品を行うことができなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
1 、学会での研究成果の公開を次年度に行うため、旅費の一部を次年度に使用する。2、シミュレーション用の計算サーバの調達を行う。3、ソフトウェアの調達を行う。4、コンピュータ周辺機器の調達を行う。さらに上記 1、に加え、さらなる研究成果発表を行うための旅費を使用する。
|