2016 Fiscal Year Research-status Report
エキセントリックな人の創造性の支援(発想方略とパーソナリティの統合情報フレーム)
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26540173
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
渡邉 光一 関東学院大学, 経済学部, 教授 (30329205)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 創造性 / 発想方略 / パーソナリティ / エキセントリック |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、普通人とエキセントリック人にアンケートとインタビューを行ない、複数の領域で斬新なアイディアの発想を求め、その発想方略とパーソナリティも尋ねるとともに、情報科学の分類・推論・学習・仮説・探索などのアルゴリズムを日常用語に言い換え、人々に理解できる形で尋ねる事で、有効な発想方略をよりシステマチックに抽出するという予定で、アンケートの設計を進めた。その過程で、エキセントリックさと創造性は(当初暗黙に想定していたように)いくつかの次元に分かれるというよりは、基本的にはそれぞれ1次元であるという可能性を仮説として持つに至った。 そこで第2年度は、そのような仮説に基づき、アンケートの直後にその詳細と商品アイディアについてインタビューを同時に行う方法を設計した。その結果、エキセントリックさにかかわる創造性はほぼ1次元に収れんし、かつその創造性をもたらす発想方略は多次元であり、創造的な人は多くの発想方略を適宜使い分けているという事例が多数を占めた。そのため、エキセントリックと創造性について、やはり当初の想定のように多次元の可能性も捨てきれないのか、あるいはサンプル数が少ないために創造性は1次元に収れんしなかったのかを、検討する必要が生じた。 ついては、今年度はインタビューよりも多数のサンプルを少ない費用で得るため、アンケートの直後にアイディアを文書で記載することでインタビューに代替するサンプル調査(アイディア文書調査)を実施した。その結果、「エキセントリックさと創造性はどちらも別個の1次元に収れんし、創造的な人は発想方略を使い分けているというよりは、むしろ同時に(同一の発想プロセスにおいて)多数の発想方略を併用している。」という非常に興味深い発見を得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
第2年度は、上記のような状況からインタビューを交えた事例発見的な調査に重きを置いたため、調査データの収集は当初より遅れた。しかし、興味深い事例の収集を重ねることは、それだけ研究に厚みを持たせることができるため、大いに有益である。そのうえで今年は、「エキセントリックさと創造性はどちらも別個の1次元に収れんし、創造的な人は発想方略を使い分けているというよりは、むしろ同時に(同一の発想プロセスにおいて)多数の発想方略を併用している。」ということが発見できたことも、大いに有益であった。しかしその分だけ、別個の2つの1次元性がどのように係わるか、多数の発想方略をどのように併用しているのかを、検討する必要が生じた。その検討のため、アンケートを伴う半構造化インタビューまたは仮想実験など設計し、その分析を行う必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、今年度はアンケートの直後にアイディアを文書で記載することでインタビューに代替するサンプル調査(アイディア文書調査)を実施した結果、「エキセントリックさと創造性はどちらも別個の1次元に収れんし、創造的な人は発想方略を使い分けているというよりは、むしろ同時に(同一の発想プロセスにおいて)多数の発想方略を併用している。」ということが発見できた。ついては、第2年度の仮説「1次元の尺度においてエキセントリックさにかかわる創造性が高い人ほど、多くの発想方略をより巧みに適宜使い分けている」は、「創造性の尺度は1次元であり、それが高い人ほど、より多数の発想方略を併用している。一方、エキセントリックさは別個の1次元の尺度である。」と修正されることとなった。今後は、その検証を行うとともに、別個の2つの1次元性がどのように係わるか、多数の発想方略をどのように併用しているのかを、検討する。その検討のため、アイディア文書調査を継続するともに、アンケートを伴う半構造化インタビューまたは仮想実験なども設計し、それらの分析を行う。
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Causes of Carryover |
本年度は、アンケートの直後にアイディアを文書で記載するサンプル調査(アイディア文書調査)を実施したのは、まだ仮説の真偽が不明の段階で全てをインタビューで行うと費用を浪費する恐れがあり、かつ調査時間が足りなくなるため、それを避けるためであった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のように、「エキセントリックさと創造性はどちらも別個の1次元に収れんし、創造的な人は発想方略を使い分けているというよりは、むしろ同時に(同一の発想プロセスにおいて)多数の発想方略を併用している。」ということが発見できた。ついては、仮説は、「創造性の尺度は1次元であり、それが高い人ほど、より多数の発想方略を併用している。一方、エキセントリックさは別個の1次元の尺度である。」と修正されることとなった。今後は、その検証を行うとともに、別個の2つの1次元性がどのように係わるか、多数の発想方略をどのように併用しているのかを、検討する。その検討のため、アイディア文書調査を継続するともに、アンケートを伴う半構造化インタビューまたは仮想実験なども設計し、それらの分析を行う。
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